はじめに
この小説はアイドルマスターのキャラクターが登場します。
自分の好きなアイドルが悲しい目にあったりするのが嫌な方は戻ることを推奨します。
また、一部キラークイーンをオマージュした部分が登場します。
キラークイーンってなんぞや?という人はFLAT キラークイーンで検索してみましょう。(注、R18)
それでは、稚拙ではありますが物語のスタートです。
都内某所、閑静な住宅街の中にある公園に一人ブランコに座る男がいた。
周りはすでに闇に覆われており、街灯がかすかに公園を照らす。
「はぁ……」
男はただひたすらにため息を漏らすばかりである。
この男の名は後堂翔(ごどうかける)。
半年前に765プロダクションに入社したばかりの新人プロデューサーであった。
夢と希望を持ち、世界へ羽ばたくアイドルをプロデュースすることを目標に掲げていた。
何故、その彼が闇の公園を一人ブランコに座りため息をつくか。
それは、時を2週間ばかり遡ったある日の出来事であった。
「後堂さん、お疲れ様です。」
彼に話しかけてきたのは、青みがかった緑色で肩ほどまで伸びたきれいな髪。
ヘッドマイクすらお洒落に見える、誰もが憧れるような綺麗なお姉さん。
彼女は音無小鳥、765プロダクションで事務仕事を担当している。
仕事中に違う世界へダイブすることはあるが、やるべき仕事はきちんとこなすできる女性だ。
「ありがとうございます。これから帰りですか?」
「はい、明日の休みのために頑張りましたから。」
「小鳥さんらしいですね。」
「いいじゃないですか。それじゃ、お先に失礼します。」
「はい、お気をつけて。」
彼女は嬉しそうに帰宅していった。
よほど休みを楽しみにしていたのか鼻歌まじりで事務所を去っていった。
「俺もそろそろ帰るか。」
彼も仕事が一段楽したようで帰りの支度を始める。
支度といっても使った資料や重要な書類をきちんと片付けるだけの作業だ。
「鍵も閉めた。これで大丈夫。」
独り言を呟きながらしっかりと確認をして帰路につく。
家についてから何を食べようかなどと考えながら帰り道を歩いている彼に、突如異変が襲い掛かる。
(!?)
少し細い路地から何者かが急に飛び出し後堂を押さえ込む。
何者かは全身を黒い衣装に包み、顔も見られないようにか目だし帽のようなもので隠している。
後堂の口は布のようなもので覆われ、まともに発声もできない状態だ。
(いったい何なんだ!)
あまりに突然の出来事に彼は酷く混乱している。
必死に振りほどこうとするものの、何者かの力が強いことと突然のことに完全に体を押さえ込まれているため抵抗は無駄であった。
そして、口元の布のようなものに薬がしみこませてあったのか彼の意識は次第に薄れていき最後には意識を失った。
「うぅ……」
ようやく目を覚ました後堂。
しかし、彼は次第にはっきりとしていく景色に見覚えがなかった。
「ここは、どこだ。」
床、壁、天井。どこを見てもコンクリートがうちっぱなしのような状態。
部屋の中には彼が眠らされていた堅く安物と思われるベッド。
隅には足が4本ついているだけの机、机の上には彼の荷物と見慣れない装置。
そして、扉は金属製とまるで監禁部屋のような作りであった。
「荷物は無事なのか!?」
目に見えた自分の荷物を確認するべく、ベッドからおりて机へと近づく。
財布、携帯、MP3プレイヤー。何一つ盗られていない。財布の中身も無事であった。
「どういうことだ。」
彼は疑問に思う。何が目的で自分をこんなところに閉じ込めたのか。
何のためにこんなところに連れてきたのか。
「そうだ。今は何日の何時だ。」
携帯を開き日時を確認する。
10月7日、午前10時。
「襲われたのは昨日か。」
薬で意識を奪われたとはいえ、かなり時間は過ぎてしまった。
会社への連絡をと考えた彼だが、残念ながら圏外を示していた。
「こんな部屋じゃ電波も届かないってか。そういえば、この装置はなんだ。」
ふと、自分の荷物のそばにあった装置に手を伸ばす。
見るとPDAであることがわかった。モニターの部分を手で触れると画面が表示される。
どうやらタッチパネル式のPDAらしい。
「動くのか。」
表示された画面には3つの選択肢がある。
ナンバー。ダウンロード。そして、勝利条件。
「ナンバーとダウンロードはなんとなくわかるが、勝利条件?」
彼は何のためらいもなく、勝利条件をタッチする。
そして、驚愕の文章を目の当たりにした。
-勝利条件-
あなた以外のプレイヤー全員の死亡。
「な、なんの冗談だよ。大体プレイヤーって……」
そのとき、いきなり不気味な雑音と共に機械音声が室内に響く。
「ようこそ、プレイヤー諸君。そろそろ全員が目を覚ましたことだろう。」
突然のアナウンスに驚きを隠せない。しかし、そんなことは関係ないといわんばかりにアナウンスは続く。
「選ばれた13人のプレイヤーよ。君たちはこれから1週間、我々のゲームに付き合ってもらう。」
13人、1週間、ゲーム。彼は断片的に物事を考えようとするが理解できない。
そもそも、なぜ選ばれたのかすら不明である。
「ここを生きて出たければ、君たちの部屋にあるPDAの勝利条件を満たして1週間後を待つのだ。」
これを聞いた瞬間、彼の顔は青ざめた。
それもそのはず、彼の勝利条件は自分以外のプレイヤーの死亡なのだから。
「君たちが最初にやることは、部屋を出て真っ直ぐの中央部屋へ行くことだ。」
もしかしたら、何かの冗談かもしれない。新作ゲームのどっきりプロモーションかもしれない。
彼はそんな淡い期待をしながら、アナウンスを聞く。
「部屋のロックは解除した。1時間後、中央部屋にてルールの説明をする。」
彼は神妙な面持ちで呆然と立ち尽くす。
まだどっきりプロモーションの可能性もある。それを信じて、荷物をまとめ部屋を出た。
部屋を出ると、そこは一直線の通路であった。床や天井も部屋と同じでうちっぱなしコンクリート。
通路を照らす電球は等間隔に配置されており、奥には中央部屋へと通ずるであろう扉が見える。
距離にして200mほどだろうか。かなり広い建物の中であることがわかる。
念のため後ろや天井を警戒しつつ、中央部屋を目指す。
しかし、その足取りは重くなかなか前へと進んでいかない。
ようやく扉の前にたどり着いた時には10分ほど時間が経っていた。
意を決して扉を開けるとそこに待っていたのは、見知った顔ぶれであった。
続く
この小説はアイドルマスターのキャラクターが登場します。
自分の好きなアイドルが悲しい目にあったりするのが嫌な方は戻ることを推奨します。
また、一部キラークイーンをオマージュした部分が登場します。
キラークイーンってなんぞや?という人はFLAT キラークイーンで検索してみましょう。(注、R18)
それでは、稚拙ではありますが物語のスタートです。
都内某所、閑静な住宅街の中にある公園に一人ブランコに座る男がいた。
周りはすでに闇に覆われており、街灯がかすかに公園を照らす。
「はぁ……」
男はただひたすらにため息を漏らすばかりである。
この男の名は後堂翔(ごどうかける)。
半年前に765プロダクションに入社したばかりの新人プロデューサーであった。
夢と希望を持ち、世界へ羽ばたくアイドルをプロデュースすることを目標に掲げていた。
何故、その彼が闇の公園を一人ブランコに座りため息をつくか。
それは、時を2週間ばかり遡ったある日の出来事であった。
「後堂さん、お疲れ様です。」
彼に話しかけてきたのは、青みがかった緑色で肩ほどまで伸びたきれいな髪。
ヘッドマイクすらお洒落に見える、誰もが憧れるような綺麗なお姉さん。
彼女は音無小鳥、765プロダクションで事務仕事を担当している。
仕事中に違う世界へダイブすることはあるが、やるべき仕事はきちんとこなすできる女性だ。
「ありがとうございます。これから帰りですか?」
「はい、明日の休みのために頑張りましたから。」
「小鳥さんらしいですね。」
「いいじゃないですか。それじゃ、お先に失礼します。」
「はい、お気をつけて。」
彼女は嬉しそうに帰宅していった。
よほど休みを楽しみにしていたのか鼻歌まじりで事務所を去っていった。
「俺もそろそろ帰るか。」
彼も仕事が一段楽したようで帰りの支度を始める。
支度といっても使った資料や重要な書類をきちんと片付けるだけの作業だ。
「鍵も閉めた。これで大丈夫。」
独り言を呟きながらしっかりと確認をして帰路につく。
家についてから何を食べようかなどと考えながら帰り道を歩いている彼に、突如異変が襲い掛かる。
(!?)
少し細い路地から何者かが急に飛び出し後堂を押さえ込む。
何者かは全身を黒い衣装に包み、顔も見られないようにか目だし帽のようなもので隠している。
後堂の口は布のようなもので覆われ、まともに発声もできない状態だ。
(いったい何なんだ!)
あまりに突然の出来事に彼は酷く混乱している。
必死に振りほどこうとするものの、何者かの力が強いことと突然のことに完全に体を押さえ込まれているため抵抗は無駄であった。
そして、口元の布のようなものに薬がしみこませてあったのか彼の意識は次第に薄れていき最後には意識を失った。
「うぅ……」
ようやく目を覚ました後堂。
しかし、彼は次第にはっきりとしていく景色に見覚えがなかった。
「ここは、どこだ。」
床、壁、天井。どこを見てもコンクリートがうちっぱなしのような状態。
部屋の中には彼が眠らされていた堅く安物と思われるベッド。
隅には足が4本ついているだけの机、机の上には彼の荷物と見慣れない装置。
そして、扉は金属製とまるで監禁部屋のような作りであった。
「荷物は無事なのか!?」
目に見えた自分の荷物を確認するべく、ベッドからおりて机へと近づく。
財布、携帯、MP3プレイヤー。何一つ盗られていない。財布の中身も無事であった。
「どういうことだ。」
彼は疑問に思う。何が目的で自分をこんなところに閉じ込めたのか。
何のためにこんなところに連れてきたのか。
「そうだ。今は何日の何時だ。」
携帯を開き日時を確認する。
10月7日、午前10時。
「襲われたのは昨日か。」
薬で意識を奪われたとはいえ、かなり時間は過ぎてしまった。
会社への連絡をと考えた彼だが、残念ながら圏外を示していた。
「こんな部屋じゃ電波も届かないってか。そういえば、この装置はなんだ。」
ふと、自分の荷物のそばにあった装置に手を伸ばす。
見るとPDAであることがわかった。モニターの部分を手で触れると画面が表示される。
どうやらタッチパネル式のPDAらしい。
「動くのか。」
表示された画面には3つの選択肢がある。
ナンバー。ダウンロード。そして、勝利条件。
「ナンバーとダウンロードはなんとなくわかるが、勝利条件?」
彼は何のためらいもなく、勝利条件をタッチする。
そして、驚愕の文章を目の当たりにした。
-勝利条件-
あなた以外のプレイヤー全員の死亡。
「な、なんの冗談だよ。大体プレイヤーって……」
そのとき、いきなり不気味な雑音と共に機械音声が室内に響く。
「ようこそ、プレイヤー諸君。そろそろ全員が目を覚ましたことだろう。」
突然のアナウンスに驚きを隠せない。しかし、そんなことは関係ないといわんばかりにアナウンスは続く。
「選ばれた13人のプレイヤーよ。君たちはこれから1週間、我々のゲームに付き合ってもらう。」
13人、1週間、ゲーム。彼は断片的に物事を考えようとするが理解できない。
そもそも、なぜ選ばれたのかすら不明である。
「ここを生きて出たければ、君たちの部屋にあるPDAの勝利条件を満たして1週間後を待つのだ。」
これを聞いた瞬間、彼の顔は青ざめた。
それもそのはず、彼の勝利条件は自分以外のプレイヤーの死亡なのだから。
「君たちが最初にやることは、部屋を出て真っ直ぐの中央部屋へ行くことだ。」
もしかしたら、何かの冗談かもしれない。新作ゲームのどっきりプロモーションかもしれない。
彼はそんな淡い期待をしながら、アナウンスを聞く。
「部屋のロックは解除した。1時間後、中央部屋にてルールの説明をする。」
彼は神妙な面持ちで呆然と立ち尽くす。
まだどっきりプロモーションの可能性もある。それを信じて、荷物をまとめ部屋を出た。
部屋を出ると、そこは一直線の通路であった。床や天井も部屋と同じでうちっぱなしコンクリート。
通路を照らす電球は等間隔に配置されており、奥には中央部屋へと通ずるであろう扉が見える。
距離にして200mほどだろうか。かなり広い建物の中であることがわかる。
念のため後ろや天井を警戒しつつ、中央部屋を目指す。
しかし、その足取りは重くなかなか前へと進んでいかない。
ようやく扉の前にたどり着いた時には10分ほど時間が経っていた。
意を決して扉を開けるとそこに待っていたのは、見知った顔ぶれであった。
続く