推奴~チュノ~ 生きて息をする
推奴のOSTを聞いていたら
改めて、このままで終われないという気持ちになってきた
まだまだ視聴後に感じた、書き留めたい事があるから
テギル堕ちして
テギルのことばかり書き連ねてきたけれど
この作品はテギルだけで成り立ってはいない
この苛酷な時代の中で戦った二人に注目してみたいと思った
【 ※ネタバレ注意 】
【参考】:推奴/チュノ KBS公式サイト
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奴婢たち
人間でありながら人間ではない
身分階級において最下級である者たち、奴婢
自分が奴婢であることを受け入れ、主人の顔色を伺いながら生き続ける者がいれば
そんな身分階級に抗い、なんとか逃げ出したいと願う者もいる。
それがオッポク
オッポクは虎を捕らえる狩人出身だったが親の借金のために奴婢として売られてしまう。
逃亡するが、テギルに捕らえられ、右側の頬に逃亡奴婢の刺青が刻まれてしまう。
後に、両班 への恨みから両班を殺し、奴婢のための世を作ろうという組織に加担する
自分たちの銃によって、簡単に倒れていく両班たちを見て、奴婢の世界の達成を夢見る奴婢たちだが
何かがおかしいと感じ始めるオッポク。しかしそれを確かめる手段がない
そんな奴婢たちのわずかな希望を弄び、両班殺しをさせているのは「あの方」
そのバックには両班であるイ・ギョンシクがいる
そんなことを知らずに「あの方」のいうままに計画を実行し、最後に裏切られる奴婢たちの姿が哀れに胸に迫る
最終話、両班に利用されていたことを知ったオッポクが
銃を持って宮中に入り、「あの方」と黒幕であるイ・ギョンシクを打ち殺す場面は息をのんだ
そしてラスト
門の前で自分の身分を受け入れるしかない同じ屋敷の奴婢がオッポクの姿を見つめている
奴婢の目にオッポクはどのように映ったか
奴婢たちのわずかな希望を弄んだ両班たちへの復讐をとげたオッポクの瞳に迷いはない
ただ、もう二度と会えないとわかっていても
チョボクを想わずにはいられないだろう
これからも生きてゆくであろうチョボクの・・・幸せな未来を
とても印象的な場面だ
そして
武官ソン・テハ
訓練院の判官で朝鮮一の武将と呼ばれていたが、陰謀に巻き込まれ奴婢に転落するが
かつて仕えた王昭顕世子からの生前の文を手にし、
世子の息子を探し救い出して、故王世子の志を継いで新しい世の中を作り出すために
逃亡奴婢となり推奴師に追われる身となる。
ソン・テハは人望厚く、部下からの信頼も高い
志をともにする部下と共に石堅を守り、
そして王として擁立し新しい世を作るという志をやり遂げることに命を懸ける
武官としての腕は確かではあるが、政治的な手腕については
誠実な性格故に裏で画策や計算することは不向きであったため、
儒家の裏切りは残念。
丙子胡乱では家族を失いながらも最後まで戦い続ける姿が、とても胸に響く
特に赤ん坊を背負いながら戦い、気づいた時には背負った子が既に死んでいた場面では
男泣きするテハを見て号泣してしまった。
そんな壮絶な人生を歩みながらも、志の為に命を懸ける男
ソン・テハの生き様は観る者の胸を打つ
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この作品、始まりはとても良かった
不条理な世の中、
奴婢が奴婢を売り、脱走した奴婢を情け容赦なく捕まえる推奴師の登場、
脱走した奴婢を慈悲もなく痛めつける両班たち
描写がとてもリアルだ
そこへソン・テハが登場
話が動き始める
ある意味この作品はソン・テハの志が柱となっていたと思われるが
残念ながら結局ソン・テハは志を遂げることができず、時代を変えることはできない。
ソン・テハを支持し、新しい時代を築いてくれると期待して力を貸した数多くの者たちの願いが虚しく消え去った時
観ている私の心にも無念さが残った
何か、中途半端な部分が数多く残された、そんな感じがしたからだ。
はるか昔の韓国で
人間でありながら人間ではなく
人生において希望や夢、望みさえ許されないことが当然で普遍的であったそんな不条理な世の中で
あるものは息を潜めてなんとか生き続け
そして
あるものは諦めきれずに小さな希望を胸に戦い、そして虚しく散ってゆく
ただ生きて息をする
そんな簡単なことが辛い
そんな時代があったことを
無理だと分かっていても、それでも諦めず世の中を変えたくて走り続けた男たちの生き様を
見せつけられた後には
虚しさ・・・そんな感情が心に残り、私の胸を締め付ける

