今年もソルフェージュの授業が始まっていて、自分なりに奮闘している。

僕が担当するのは視唱のカテゴライズなので、いわゆる新曲視唱のトレーニングがメインになるのかもしれない。

ただ様々な教材に目を通し、昨年度もそれらを用いながら授業を進める中で感じるのは、生徒たちの音楽活動の中でなんとなく意識の外に追いやってしまっている音楽的要素がいくつかある。

例えばト音とヘ音以外の譜表や、移調楽器における譜表。

アルト記号やテノール記号など、今もスタンダードに使用される音部記号ではあるが、生徒たちにとってはアレルギーだ。

また移調楽器の伴奏をする時に楽譜を見て違和感を覚えながらも、「移調民族の村」の民話としてしまい、絶対音を持つ都会人の文化には相容れないものとしてしまう。

それから教会旋法を代表する様々な「旋法」。

歴史的な旋法もあれば近代の人工的な旋法もあるが、特に教会旋法は調性音楽が成り立ったからこそ様々な音楽の中で芳香を放っている。

知っていれば香りの活かし方もあろうが、知らなければ異臭でしかなくなってしまうかもしれない。

「なんかドビュッシーっぽい」ということはドビュッシーの音楽を知っていれば感じることはできるかもしれないが、「全音音階」というシンプルなシステムを知っているだけで誰でもドビュッシーぽくなれる。

オーケストラスコアを広げただけで頭の中に音楽が響いたり、演奏や鑑賞を通してその時代や場所の香りを感じることができるのは音楽家としての喜びを増やす。

あとは移動ド唱法かな。

ただの移動ドではなく、音楽教育者の祖、グィード先生の提唱したソルミゼーションをちゃんと授業で扱ってみたい。

なんて偉そうに書いたが、自分もできていないことも多い。

共に学んでいきたい。

グィード先生。

ソルフェージュ雑感