今週めずらしく渋谷の予定が

連日あり、夕がた終わりでふと思い立ち

Bunkamuraへ。

「フェルメールからのラブレター展」

科学と芸術が対極へと別れていく直前

あるいは、ともにそれが産業化していく夜明け前

のオランダの様子をうかがわせる。

フェルメールだけでなく、同時代の画家たちの

作品が手紙=コミュニケーションというテーマをもとに

集められたよい企画。

フェルメールの3作品を中心にとてもよい

キュレーションだった。

チケット売り場横のボードに世界にちらばる

フェルメールの作品一覧が世界地図にプロットされていたが

これもまた、なかなか良い。

30数点しか現存しないが故にできる表示方法ではあるが

何かこうしたものも、様々な縁に想いがめぐる。

識字率の向上、手紙というシステム

航海技術の進化、都市の整備

市民社会のあり方

経済の隆盛

さまざまな背景の中で

印象派とパリではないが

画家たちとオランダの時代感が

感じられた。

手紙は、そこにいない誰かとのコミュニケーション。

手紙を書く、読むそのその場にある不在の椅子。

部屋に差し込む窓の先を想わせる光=色の描写。

あるべき・ありたい理想像。

世界の変化と自分。

物理的隔たりと持続する想いのありよう。

「手紙を読む青衣の女」は修正前との対比解説もあった。

フェルメールの色の美しさも、時間の経過の中で

その隔たりを感じさせる。

それでも、そこにいない誰かへ想いをめぐらせる

関係性の持続願望というコミュニケーションも

ある種成立しているのかもしれない。



今回もいつものように、図録は買わずに

ポストカードを数点。

実は、初めて知った画家で今回なぜかとても

魅了された作品があり、それがたまたまカードにも

なっていたので、購入できてうれしかった。

ヤン・リーフェンスの「机に向かう簿記係」

という一枚。

これも、ご多分にもれずに現物とプリントには

その強い印象の片りんが見たものしか感じられない

特有の欠落性を生むのだが、

それでもあの感慨が記憶されている。



開催期間最終日を迎える今週ということもあり

平日でありつつも、かなりの人出ではあったが

とても、良い時間だった。




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