君自身の虚なる密教は超越する脳髄の機能的連関
歯肉炎に熱せられた殺鼠剤で瀰漫した純粋直覚
遺棄されし駅構内に蝙蝠はいりませんかという声
規矩引く手走り去る直線は概念の芯を残す
熱帯の本屋にて独我論立読みす毛におおわれた無精者
三月のego思惟啄むしばしのち乾いた涙涸るる
統握するまなく食卓にpr äsentationする熱きベーコン
独我論の本閉じれば夕暮れに佇むalter ego
たたなづく深淵abgrundの真闇種差より視やれば海亀の産卵
蛇紋Serpentineの土器をなぞるとき閉塞の複眼沸立つ
通奏低音の上澄みでアリア歌う項垂れた盲目の実存
盲目の少女仏蘭西人形の腹の如き柔らかき咽喉震わす
可否の煙る奇(くす)き夜は闇経ちて臨むしじま
孤独なるローランド海溝で欠伸する毛細血管の自由な純粋愛
紅茶器の葉陰で索敵する受状突起の淡い揺らめき
感情移入するメゾフォルテの尾根転寝という幾何学
背骨に突き立てられし贖罪を語る裏漉しされたmash salad
炎天下にてDemiglace-so ßeつくりしJugend追憶の否定的形而上学
五月雨に髪振り乱すJugend(青年)逡巡の過去識(しる)は能わず
晦渋なる懐疑論を唇にはさみPlastisch(彫塑的)に合掌する再考技術者
カミキリムシに解読された延長のApodiktizit ät(必当然性)を売りし父
襤褸棚引く赤煉瓦の石段を神殿にむかいgemworener Entwourfせし姉
ゼラニウムの淡き温(ぬく)麗(うらら)に現前せむとす羊の年に
散月の荒野枠いでし晝虹にからめとられし水瓶のフルート饕
熱月はシュプレヒコールとともに去りしつかのまののあの方舟に乗りし乳児きたる
麦秋の仮現的且つ射影的Weltはまるで所与的契機
神社於ける宣いし父出奔はや35年を閲する
ホルモン分泌なる液性の宴は神経細胞のRestrictionされしSubusranz
風穴にも似た脱自態が藍色に染まる蚕の体液飲む音
切り裂かれた傾く純粋都市により素朴な視力を喪失した夏
酷寒の澄み切った満月で後ろ手に縛られたカモノハシよ逃げ失せろ
濃青の純粋なる経験は摸像なりそれ即ち自らの意識の映画
蠱い師蝟集して創りしうすずみの夢を畏怖する螺旋線条の冬
黄身色のカアテンを黒き絵具で塗りたくるU字状の蹄鉄工
T神社所蔵せし聖るかの甘美なる巻物の距離測りし憑れた貘の群れ
鉛製エルボ管陽に浴す溶接工に剥きだしの煮汁の湿気
銅線に視ゆすぺいん艦隊の黒き桶のなかの柑橘系なる敬虔さ
月が非情に碧くてる仔牛背負いて娯楽場への冬きたる気配
内なる視覚の痕跡をとるものもとりあえず萌葱色の濁点で綴る
楓と柊のまにまにを縫い定有する喫茶「アール・ヌーボー」の鬣の匂い
「鍵括弧のなかの老犬の家」をワゴン車にて運ぶペルゾンなき月白のマネキン
たおたおと揺れる冷たき露あわれまたも宵の口からHegel大論理学
神社へのみちゆきゆきて魔除けなる目箒を撒く能識的存在者
五月雨の窓に射影せし円環というAbsuvdität)投擲するZuschauner
きみが視たSapannungsemptindnisに帰結せし誤謬的措定の印付けられし慚愧の熱帯性低気圧
窓を伝わりし月下に視ゆる漆喰の壁に革まる蔭影
はつなつの燐火縛する弥撒の汗孕む花楸樹の既視感
銀箔昃(ひかげ)りて九十九折より呻吟し金融Kの荊棘(けいきょく)の道程
脂漏性湿疹の頭髪を浄福する痲利耶観音の香鼻先を掠める装飾的描画
曇天下眠れぬ夜の病棟に置かれたKebeslichkeitなる独逸騎士団の青銅馬像
灼熱のEvangelistが持つ毒殺されしΩの屍骸イスカリオテのユダにも似て
猩猩緋色の頃いざや書を枕にして安眠する能意的存在者
ほろにがき珈琲いりたる不銹鋼(ステンレス)の容器に浮かんでる鮮やか紅の夕映
あらたまの空五倍子色は午前五時四十八分に差異として染まりし仏蘭西皇帝戴冠式
なじかはしらねどまばたきの挽歌魔歌いし晩夏こうべ垂れたる甲虫