念願だった富士山登頂を果たしたのは、病気が発覚する直前――
ちょうど1年前。昨年の9月のこと。
夏からつきあい始めた彼女が何度も富士山に登っているという話を聞き、
ついにそのチャンスがきた! とばかり、さっそく登山を約束
天候の関係などがあって予定よりも延期になったけど、
どうしても今年中に登りたかった僕は、閉山後の9月の週末に決行しました。
調べれば調べるほどに閉山後の富士山はヤバい、無茶、初心者厳禁!・・・と、
じゅうぶんすぎるほどに不安をあおりたててくれてはいたけど――。
実際の富士登山は、僕の予想をはるかに超える、
めちゃくちゃHARD COREな道のりとなったのです・・・・・・。
4つある中から選んだのは中級者向けの須走口ルート。
5合目でまずはしっかりと休憩をとり、高度を体になじませてから夕方に出発。
まずは7合目を目指したのですが、夜になるにつれて
徐々に風と雨が強くなり、気づいたらハンパじゃない強風に。
いつの間にかまじで岩につかまっていないと飛ばされそうな暴風雨(下は晴れていたのに・・・)。
はじめは群青色の空に浮かぶの日を眺めながら優雅に砂利道を歩いていたのが、
気づけば真っ暗闇の中、ほかの登山者もほぼいない孤独なロード。
脳内i-podがシャッフルするBGMも、はじめは「昴」(谷村新司)だったのが、
そこからストイックな「地上の星」(中島みゆき)へ。
『プロジェクトF(富士山)』の脳内映像では、
「――行く手を阻む突風」
「暗闇の中、孤独なはるかなり道のり――」
・・・そんな字幕が次から次へとフラッシュ・バックし、そしてBGMはやがて
「Smells Like Teen Spirit」(NIRVANA)と、相当グランジに。
「Hello,Hello,Hello・・・How Low・・・?」
(おーーーい。気分は最悪かい? ちなみに高度もまだまだLOWだぜ・・・BACCI意訳)
そして脳内i-podのバッテリーもLowになったのか、
暴風雨の中にかすかに幻聴が聞こえるようになったころ、
ようやく山小屋の灯りが!
・・・嬉しくて、ちょっぴり泣けました。
もうムリ! という状況の中でようやくたどり着いた7合目の太陽館。
そこで食事(ハンバーグと豚汁で死ぬほど美味しかった♪)を済ませると、
ほんのちょっとの仮眠をとり、再出発。
長居はできないぜ。
なんといっても目指すは頂上でのご来光!!
(第2部につづく)