「父との再会」で書きましたが、20年ぶりに父子の再会を果たした僕と父。



そのことをキッカケに、僕は今までに一度も父方のお墓参りをしたことがなかったのですが、

父と一緒に、ようやくする機会に恵まれました。

しかも、偶然にもその父方のH家のご先祖様が祀られているお墓は、

今の僕の住まいである鎌倉からほど近い霊園にあったのです。



父と約束したその日。――8月の真夏日。

前日から39度近い発熱があり、体はふらふらでしたが、せめてお墓参りだけでも・・・

と、父に迎えにきてもらい、お墓へと向かいました。


そしてはじめてのご挨拶――。

そこには父方の祖父と、幾名かのご先祖様たちがいらっしゃいました。

はじめて手を合わせ、心の中でお祈りをさせていただきました。


その後、父と海沿いの店でランチ。家からも近かったその霊園に、

今度は一人でも行ってみようと思いながら、ふらふらで帰宅。


それからしばらくが経ちました。


あるとき母に電話で「今度、ひとりで行こうと思っている」ということを、僕は何気なしに話しました。


そのときの僕は病状が悪化して7度目の入院をしていたときでしたが、投薬の経過観察の時期だったので、

外泊許可をもらい、引越し先の候補物件の内覧にいくことになったのでふとその前に行こうと思いついたのです。



その候補物件も資料ではまだ入居中とあったのですが、そろそろ内覧できるのでは? とその前日にふと思いつき、入院中にもかかわらず不動産家に電話をしたのです。

すると「ちょうど見れるようになりましたよ、まだクリーニング中で汚いですが・・・」とのこと。


9月の連休前でさっそく内覧の予約もいっぱい入っているとのことで

(おそらくほかの仲介業者の予約だったのでしょう)、結果、その担当者の押しもあり、なんと、

問い合わせをした翌日の夕方に行くことになりました。


連休前の直前にすべり込み、ほかの方には申し訳ないのですが一番に内覧させていただくことになったのです。


そんなことを電話で母に報告したのですが、すると、その当日に父から携帯にメールがありました。


「本日、鎌倉に行くのでよかったら病院まで迎えに行きます。

よかったら一緒にお墓参りもしましょう」




(後編につづく)