【ネタバレ注意】第95回公演の一部を徹底解説!! | 劇団バッカスの水族館ブログ

【ネタバレ注意】第95回公演の一部を徹底解説!!

【閲覧注意】【ネタバレ注意報】

 今回の記事は第95回公演にて上演されるササキ(水野直樹)作の脚本について徹底的に解説したものになります。

 観劇前に今回の脚本のポイントを抑えておきたい方はもちろん、観劇後に「あれは何だったんだろう」「裏話が聞きたい」という方にもご利用頂けるものになります。

以下の点にご注意ください。

・この記事は当劇の解釈を固定化する狙いのものではございません。あくまで作者が何を考えていたかを記したものになります。

・ネタバレを見たくない方は観劇前に絶対にこちらの記事を読まないでください。

・こちらの記事の内容については3/17までは広めないでください。ネタバレを見ずに観劇したい方への配慮をどうかよろしくお願いいたします。

 以上の注意を守ったうえで、スクロールしてご覧ください。

 

その前に!!予約して見に来てね!!!特に千秋楽!!!

 

↓ササキ扱いの予約フォーム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ネタバレ⚠️注意⚠️】ファイナル・デュエル【徹底解説】
 

ーーーーーーーーーこの脚本を『ササキ』を呼んでくれた人、『おじさん』と慕ってくれた人、『水野直樹』を見ていてくれた全ての人に捧げる。

【登場人物解説】
・おじさん
 今作の主人公。劇団バッカスの水族館と名古屋市立大学劇団鈍所属。演劇ではササキの通り名で通ってる男。成績不良により1年留年している。同期がとっても強い世代にあってごく一般的な演劇大学生である。
・森
 ササキが書いた前々作「デュエル!!」に出てきたデータキャラ森が続投である。キャストもそのまま。衣装には当時の公演のTシャツが使われている。今回はデータキャラらしくタブレット端末を小道具に持っており各所でそれを使った演技が見られる。

・鳥巻
 トリマキ。取り巻きの鳥巻である。関西弁のツッコミ役となっている。(役者も関西人では無いため割とエセ関西弁であるのはお許し願いたい。)森と一緒に今回の台本をシリアスにし過ぎないバランサー。江口くんが見事に演じてくれている。関西弁になったのはツッコミとにぎやかしのためである。慣れない言語しゃべらせてごめんね。
・Unknown
 おじさんの目の前に突如現れた謎多き敵。モチーフはコスチュームからピンときた方もいるかもしれないが「闇マリク」である。調べて見ると衣メ小の仕事の良さがわかる。今までのデュエル!!にも敵キャラにはモチーフがあり、初代デュエルが海馬瀬人、ジェットコースターがペガサスJクロフォードである。


 START
ドゥン――――――
ナレーター「2021年から」
無印デュエルの皆様「デュエル!!」 ←初代「デュエル!!」コント「コント公演」から
ナレーター「2022年」
ジェットコースターの皆様「デュエル!!」 ←実質デュエル!!2「ジェットコースター」コント「遊園地」から
ナレーター「そして、2024年……デュエルの歴史が終わる…!!」
BGMスタート
鳥「おじさん!!」
森「僕のデータにもないなんて……!!」
U「お前に俺は倒せねぇよぉ!!」
おじ「おじさんの……ターン!!!」
ナレーター「デュエルを作った男が今!!デュエルの歴史に幕を降ろす!!」
 
歴代デュエルに出てくれた人「デュエル!!!」
おじさん「ファイナル」
森鳥U「デュエル!!!」

【解説ポイント】
 主人公は今まで2作品を劇団バッカスの水族館に脚本提供している。「デュエル!!」と「ジェットコースター(実質デュエル!!2)」がそうである。今回はそんなデュエルの締めくくりとなる作品にしている。
 やはり演じてくれた皆様が居たからここまで「カードゲーム演劇」というコア過ぎるものを世に出すことができた、先人達への敬意を、共に走ってくれた仲間への感謝を忘れたくない。
 この部分は映画の予告をイメージしたものとなっている。あの台詞を小出しにするものの展開を予想させず、熱い展開を醸し出す中身があるようでそんなにないアレである。これも例に漏れず劇中の台詞をニュアンスを変えて引用している。是非探してみて欲しい。ナレーターは初代デュエル!!で審判を担当したまっすーが声をあてている。非常に声が良い。
 この映画予告ではある程度主人公のバックボーンを説明する役割を担っている。主人公が「おじさん」と呼ばれていることも説明したかったが盛り込めなかった。この脚本で一番最後にできた部分であり、一番難航した箇所。

 最後の台詞はバッカスのコントオムニバス恒例のコントコールとなっている。バッカスのコントオムニバスで育った主人公にとってこれは欠かせないものである。
 
爆発音
鳥「おじさん!!」
森「もう始まっていましたか!!」
おじ「いんや、まだ始まったばかりさ。」(吹っ飛ばされから立ち上がりモーション) ←強キャラおじさんが言いそうな台詞
森「相手は……!」
鳥「わかるか!?森!!」 ←『デュエル!!』にもこんな台詞あった気がする。
森「えぇ…僕のデータによるとあいつの使うデッキは……わかりません」 
鳥「わからんのかい」
森「僕のデータにもないなんて……マジで誰ですかあいつは」 ←だいたいデータキャラはデータにないことに焦りがち
U「フィールド魔法発動、ダークサイド・ディメンション」(演出欲しい) ←映画『遊☆戯☆王 The dark side of Dimensions』から取っている。Amazonプライムで見れるため遊戯王が好きな方は是非。
森「こいつ、フィールド魔法も使えるのか!?」 ←現代遊戯王におけるフィールド魔法は非常に強力。ペルレイノとか
鳥「フィールド魔法!?」
森「術式の最終段階であり、まさに呪術戦の極致。この領域の中ではあらゆる攻撃が必中。領域を展開している側が圧倒的有利…」(呪術廻戦単行本を開きながら) ←結局単行本を開けなかった。動きとテンポの都合上である。タブレットを操作して呪術廻戦を読んでいるはず。特に有名な無量空処の掌印を結んでいるのは森の本人発案。
鳥「領域展開やないか!呪術廻戦の領域展開やないかい」 ←呪術廻戦、週刊少年ジャンプで連載中の漫画。単行本、アニメのどれも好評であり中でも『呪術廻戦0』は265億円を突破する興行収入を見せた。ササキはこういうオタクにしか伝わらないネタをやって爆死しがち。(n敗)
森「あれ?あ!間違えた!とにかく、油断ならないってことっすよ」
おじ「やれやれ、君たちの図太さは見習いたいもんだねぇ」 ←おじさんにありがちな台詞、こういう少し身を引いた発言をしがち
U「ダークサイド・ディメンションの特殊ルールを暴かない限り、貴様らに勝ち目はない。」
おじ「リバースカードオープン!仕込み爆弾!!そんなのに付き合うつもりはねぇよぉ!!効果ダメージで吹っ飛べ!!」 ←『仕込み爆弾』は実在するカードである。上位互換もあるカードだがこの状況には合ったカードのはず。ササキ……お前バーンデッキ使いだったのか…!?(バーンデッキは使ったことない)
爆発音
鳥「やったか!?」 ←フラグ、これ言われた時は絶対にやれてない
U「………ふふふ、あぶないあぶない。ダークサイド・ディメンションの特殊ルール、お互いにこのカードの効果以外でダメージは発生しない。その一端、ご理解頂けたかな?」 ←①お互いにこのカードの効果以外でダメージは発生しない。 効果ダメージは勿論戦闘ダメージも発生しない。このフィールド魔法を破壊しない限りゲームが進むことはない。破壊しよう
おじ「厄介なフィールド魔法だこと」
森「そんな!こんな遊戯王を根本から否定するようなカードがあるなんて!」
鳥「これ遊戯王って言って良かったの?」
森「あ」 ←………今更である。
U「倒しきれなくて残念だったなぁ、ほぉらもっと必死になりなよ。あの時だって必死になれなかったからあんな事になったんじゃないのかい?」
おじ「……何の話だ。」
U「お前が留年した時の話さ。」 ←主人公は2年から3年に上がることが出来ず一年留年している。みんなはこうならないように提出物と試験はちゃんとやろう。
おじ「ぐわぁあああああああ」LP減少音
鳥「おじさん!?」
森「いったい何が……」
U「さぁお前のターンだ。精々気をつけなぁ」
おじ「一筋縄ではいかせてくれないってか。おじさんの…ターン!」 ←俺のターン!!やりたかった。やれて満足。
鳥「何故おじさんがダメージを受けたのか、それさえ分かればそれを応用して相手にダメージを与えることができるはずや!」
森「そうっすよ!!」
鳥「っていう頭の良いことを本当はお前が言うんやで。」
森「…マジか」 ←せやぞ
おじ「しかし逆に言えば、それがわかるまではなにもできない。」
U「おいおい、及び腰だねぇ。そんなことだから主役の一つもやれなかったんじゃないのかい?」
おじ「ぐわぁあああああああ」LP減少 ←ササキは主役をやったことがない。どこかクセのある役をやることが多い。そもそもササキのクセが強いのでこんなクセの奴は主役を張れない。ササキに主役が合うとも思わないしやれるほど力も無いと思うがやってみたかった。だってめっちゃかっこいいじゃん……。
鳥「また減った!!」
U「そもそも役職も役も選り好むのが、貴様の悪い部分だがねぇ。」
おじ「ぐわぁあああああああ」LP減少 ←ササキは割と食わず嫌いが強い。役者以外の役職はほとんどやらない。数少ない大学演劇生活で役者以外をやる暇が無いと考えている。役についても食わず嫌いはあるが、結局演出に従ってやっていると楽しくなってくるタイプではある。
鳥「どんどんおじさんのライフが減っていく」
森「あっ!わかったっす!!」
鳥「なにが!?」
森「これがフィールド魔法の特殊ルール!アイツがおじさんの気にしてることを言う度にダメージが入っていく。つまり!アイツはおじさんの精神にダメージを与えるってことっす!!!」 ←フィールド魔法「ダークサイド・ディメンション」 ①お互いにこのカードの効果以外でダメージは発生しない。 ②このフィールド魔法が表側で存在する限り、精神に直接ダメージを与えることができる。とても厄介。破壊しよう。破壊できない時は罵倒に耐えよう。
鳥「なんやて!?」
U「その通り!我がフィールド魔法、ダークサイド・ディメンションは人の持つ闇を増幅させる。精神ダメージが頂点まで達した者は闇に引きずり込まれ、二度と帰って来れないのさ!さぁ!今までのは小手調べだ、まだ終わってくれるなよ。」

 

【ちぃ解説】

 遊☆戯☆王は『人が持つ心の闇と光』の物語が中心にあることが多い。初代はもちろん、GX、ZEXAL、ARC-Vなどなど…。そういったものを乗り越える話になるのか、それとも共存するのか、はたまた闇にとりつかれ破滅するのか。作品によって結論は様々である。

この脚本の描く闇と光は後程また解説する。


おじ「これは……まずいね…」
鳥「おじさんも何か相手に攻撃しないと!!」
森「なんて言えばいいんだ……!保存忘れ……計算外……データが通じない…」 ←人の心がわからないデータキャラの鑑である。上書き保存はこまめにしよう(n敗)。
鳥「それデータキャラの森が傷つくだけやないか!もっとこう……落単とか!」
おじ「ぐふぉ!!」LP減少 ←主人公経験済み
鳥「GPA1.5以下!!」
おじ「ぐぼぁ!!!」 ←主人公経験済み
鳥「面談対象!!」
おじ「ぐばぁ!!!!」 ←主人公経験済み。主人公の在籍する名古屋市立大学では期のGPAが1.5以下だと面談対象になる。成績の悪さ以外にもその要因など、色々相談しよう。
鳥「進級不可!!」
おじ「ごほぉ!!!!」LP減少 ←主人公経験済み
森「待って!!おじさんの方がダメージ受けてる!!!」
鳥「あ、ごめんなさい」
おじ「いやぁ…良いんだ。全然気にしてないよ。おじさんが単位を落とすわGPA1.5以下で面談対象になったり進級できなかったのは事実だから」 ←事実である
森「めちゃくちゃ気にしてるじゃないですか!!」 ←多くの人が気にならないとか言ってくれるが気になるものは気になる。
鳥「おじさんって言ってもその実ただの大学生やからなぁ」 ←それな
U「良い味方に恵まれたなぁ」 ←内心m9(^Д^)プギャー
おじ「なぁに…これはフィールド魔法のダメージで痛むんじゃないさ……。ただ……」
鳥「ただ……?」
おじ「持病の…腰痛が……!!」LP減少 ←事実である。身体が硬い奴、マジで危機感持った方がいい
森「おじさーーーーん!!!」
鳥「なんでこういうところだけマジのおじさんっぽいんや!」 ←腰痛がササキのおじさんらしさの一つポイントになっている。実際本当に腰が弱い。皆さんも悪化する前に、大学生のうちに病院へ行こう。
U「黙れ!!!表面的にキャラクターを演じやがって、貴様がおじさん役を演じて一度でも本物のおじさんらしかったことがあるか!!!」(激怒) ←1回どっかで指摘されたことのはず。未だに覚えてるし実際事実だと思ってる。身内ノリなのである。そのおじさんが等身大のままおじさん役ができる台本がこれである。
おじ「ぐわぁああああああああああああ!!!」LP減少長め
鳥「ひでぇ…」
森「あまりにも正論過ぎてぐぅの音も出ねぇっす…」
U「お前のその道化は所詮身内ノリ、勘違いするな!説明してやったらどうだ!!お前のごっこ遊びに付き合わされたこの哀れな後輩たちに、何故自身をおじさんと呼称するのか。」
森「あ、それは普通に気になる。」
鳥「うんうん、どうなんです?」
おじ「……え、これ説明するの?……いや、そんな説明するほどのものじゃないというか……え?言わないとダメ?…ここで???いや絶対……えぇ……ダメ……ですか?……あ、いやそれは……その…………かっこよかったから……ぁ、ちゃんと分かりやすく説明しないとダメな奴だ………あの!……漫画とか、ゲームに……自分のこと『おじさん』って言っておきながら、凄い仕事はできるしぃ、いざって時頼りになる人って……いるじゃないですか……まぁ、そういう人がいるんすよ……そういうの…かっこいいな……自分もそういう人間になりたいな……って思った結果…大学生になったときにまず一人称をおじさんにするところからはじめまして……。あの、以上です」(ササキ苦しむ、他冷ややかに見てる)
森「……つまり、2ちゃんねるのコピペを見過ぎて自分のこと『ワイ』とか言っちゃうのと同じ感じってことですか?」
おじ「平たく言えば……そうなるかと……」
鳥啞然

【解説ポイント】
 ササキがおじさんを名乗る理由を説明するシーン。『おじさんキャラのような人間になりたい、と思った結果一人称をおじさんにしてそういう人間になろうとした。』割とくだらない理由である。本当に大学に向かう電車の中での思いつき程度だったものがよくもここまで…。なにかカッコイイ理由を期待していた後輩には大変申し訳ない。

 では、果たして”おじさんを名乗ることでおじさんになれたのだろうか”。答えは…これからUnkownが語ってくれるだろう。

U「くだらんままごとだ。どこまでくだらんままごとを続けようとお前はお前だよ、怠惰も、無能も何一つ変わらず。お前がどれだけ『おじさん』を名乗ろうとお前には年季もない、経験もない、頼りがいもない、強さもない、それがお前だよ。」
照明暗くなる
U「ほぉら、闇が立ち込めてきた。もう仲間の声すら届かない。」
おじ「……」
U「冥途の土産に教えてやる。俺はお前の心の闇そのもの、お前の闇をすべて司る者。大学卒業前に精算したかったのだろうが、この闇を抱えるには、お前は弱すぎる。」
おじ「……」
 
??「立て」
??「諦めるな」
??「投げ出すな」
??「逃げるな」
??「いや、ササキは立ち上がる」
??「ササキは諦めない」
??「ササキは投げ出さない」
??「ササキは逃げ出さない」
??「だってあいつは……」
??「あいつは……」
??「あいつは……」
??「あいつは……」
??「「「おじさんだから!!!」

 

【解説ポイント】

 Unkownの正体が判明する。対戦相手は自分自身の心の闇。それに対峙した時になにが心の支えになってくれるか。ササキにおいて心の支えは”信頼”である。誰かが預けてくれた信頼に応える、そのためにササキは立ち上がり、諦めず、投げ出さず、逃げず、立ち向かうことができる。

 今回の舞台においては闇とササキを意識的に対立させる演出にしており、立ち位置等に特に表れている。下手側を闇の領域、上手側をササキの領域としてそれぞれの優勢劣勢によって領域は拡大縮小する。

 そして、ササキを支える声にはササキの同期に協力して頂いた。うめだ(老若男女未来学園)、水野優斗、N井タロ、市川諒馬の4人である。実際にこんなことを言うかはわからないし、解釈違い台詞だったかもしれないが快く録音をしてくれた。本当にありがとう。

 
U「弱いお前に居場所など存在しない。先輩に追いつけず、同期を見送り、先輩になりきれなかったお前は消えるべきだったのさ!今すぐにでもなぁ!!」 ←おじさんを端的に表した言葉。先輩のように役者として追いつけず、同期と共に卒業できず、先輩や同期のように立派になれなかった。
おじ「そうだねぇ……」
おじ「いつだって心に深く突き刺さるのは“留年した事実”なんかじゃなかった。刺さるのは“共に卒業するはずだった仲間がここにはいないこと”、そして“そうなれなかった己の弱さ”だった。」 ←留年してつらいのはここやから留年しそうな人は覚えておきな。
おじ「それでもねぇ……居場所ならあるんだよ。」
U「なに?」
おじ「聞こえないかい?」
U「?」
おじ「呼ばれているのさ」
森「おじさん!!」
鳥「おじさん!!」
EX「おじさん!!」(色んな方の声を集めたい) ←こちらの台詞には5人、もか殿、もとき、
おじ「俺をおじさんと呼んでいるのさ!!」おじさんスタンドアップ
U「ぐおおおお!!!」
照明を明るくしたい、逆転BGMがあっても良い ←逆転BGMを付けたらあまりにも逆転BGMが強過ぎて台詞が負けたので無しになった。
森「照明が!!」
鳥「明るくなっていく!!!」
おじ「はじめは、自分の理想のためにおじさんを名乗った!そこにはただ憧れしかなかった!
だが今は違う!!おじさんと呼ぶ声がする!その声がおじさんをおじさんにしてくれる!その声が聞こえる限り、そこに居場所が無くても!過ちも能力不足も、全部背負っておじさんはおじさんであり続ける!!」

 

【解説ポイント】

 『おじさん』になりたくておじさんを名乗った。結局おじさんにはなれなかったけど、目指した価値はあった。ただの呼び名は段々信頼へと変わっていった。おじさんを目指し、行ってきた行動が少しずつ信頼を積み上げてきたのだと思う。”なりたいもの”というのは生きる航海のうえで羅針盤になってくれるものだと考えている。ササキは『おじさん』を羅針盤として進みそこに到達できなくても尊敬できる自分に少し近くことができた。ササキが続けてきた『ヒーローごっこ』には意味があった、今はそう思える。


鳥「……つまりどういうことや?」
森「わからないっすけど逆転の雰囲気ですよ!!」
おじ「お前の正体、それはおじさん自身の心の闇だと言ったな。」
U「そうさ!故にお前に俺は倒せねぇよぉ!」
おじ「なら、かけるべき言葉はただ一つだ。」
(歩み寄りおじさん)
おじ「大丈夫」
おじ「おじさんを名乗ったこと、演劇を続けてきたこと、多少のアクシデントはあったけれど全部間違いじゃない。」 ←自分の生きてきて犯した過ちを、失敗を、闇を、否定しない。でも、悪い面だけじゃなかったはず。楽観も悲観もせず、それを見て「間違いじゃない」って言える。それがおじさんにとって前向きに生きるってことなのかな。
U「あぁ…そうか。それを聞いたのなら、もうこのデュエルの目的は達成したのだろう。」
U「これ以上このデュエルに意味は無い、俺の負けだ。サレンダー」 ←ここで左腕に右手を置く動きがあるが、これは遊戯王におけるサレンダー(降伏宣言)の流儀から来ている。サレンダーの宣言はUnknownからのデッキに対する労いでもあります。ササキから「全部間違いじゃない」この言葉を引き出すため共に戦ってくれた相棒への感謝。色んな感情が含まれたサレンダーです。
暗転 LPがゼロになる音 U退散
鳥「あれ、おらへん……!」
森「おじさんの勝利っすよ!!」
おじ「なんとか後輩にかっこ悪いとこ見せずに済んだかな。」
鳥「……そないなことはなくない?」 ←あ、ない?ないっす(無慈悲)
森「ともかく!帰って祝杯っすよ!!!」走ってはけ
鳥「えぇ~??誰に勝ったのかもようわからへんのに??ま、えっか!」はけ
おじ、遅れながらはけ
おじ「皆…ありがとう……」 ←後輩を見守りながら、でもどこか遠くも見てる。最後に言った感謝の言葉が誰に向けてのものなのか。もう、おわかりですね。
END

 

【今回の脚本解説】

 この脚本のスタートとなったのは「同期、市川が鈍の卒公で見せた『わたしたちのヒーローごっこ』のささやかな意趣返しがしたい」「おじさんを名乗った理由を明かしたい」の二点です。その中で自分がやれること、やりたいこと、伝えたいもの、大切なものを混ぜこぜにしてなんとかできたのがこの台本です。

 正直身内しか狙ってない台本なので多くの人にとっては駄作以下の代物かもしれません。それでも伝えたい思いやササキの大学生活がこもった作品です。この脚本を上演することに後悔はありません。

 

 

 最後にこの脚本の上演に関わってくれた全ての人へ感謝を。

 

 

 これをもってデュエルを、ササキを、おじさんを、ファイナルとします。