特に意味は無い。
わたしは、昨日ほど楽しくお酒を飲んだことが、これまでにあったやろかな。そのぐらい、昨日は楽しかった。そしてほっこり仕合せであった。ああ、マンデー・ナイト・フィーバー。
川上未映子さんの講演を聴くために、てくてく、早稲田大学に赴いた。けども、その会場に人が入りきらず、十人ほど前で定員いっぱいシャットアウト。涙ちょちょぎれ、脳内テロップに落・胆!の二文字、「わたしどうしたらええのん?」っていうこの胸いっぱいの不安感を抱えながら、ふらんふらん、彷徨しようと歩きはじめたわたしの前を通りがかったのは、他でもない、川上未映子そのひとでした。「こんばんは」、わたしと未映子さんが交わした言葉。あの数秒間、たしかにわたしと彼女は見つめあった。あの瞬間、たしかにふたりの対話がそこにあった。わたしは、もう、それだけで満たされて、仕合せで、よかった。「いつか、もう一度、あなたと言葉を交わしたいと思います」、遠ざかる未映子さんの背中を見つつ、わたしは、一瞬ながらぼんやりとそんなことを思った。
そんでから、唯一親友と呼べる友人たちと、舟形やっていう胡散臭い居酒屋でアルコールを摂取。そして、談笑。あんなに心の底から楽しいって思える時間を作ってくれるのは、彼ら以外に考えられない。って云っちゃうことも厭わんぐらい、彼らと話すのは楽しい。ただ騒ぐのではなく、際限なくしみったれるのではなく、考えを巡らせながら飲むお酒、そうそうありつけるもんじゃないと思う。昨日した話(田んぼのこと、ボラをはじめとする魚のこと、言葉について・感覚の共有について、自分のすべきこととしたいこと、いつか戦わなあかんこと、エ・イヒレとフ・カヒレ、「太平洋の水が全部カシスオレンジやったらええのになあ」「どんなんなよ」、などなど)、唐揚げに齧り付き、竹輪の磯辺揚げに食らい付き、ホッケをむさぼり食べた我々、忘れたくないなあ。全部纏めて、冷凍保存して、たまに融かして再現できたらええのになあ。なんちて。
店を出たあとに見た、傘をかぶらない月。早稲田駅のホーム、滑り込んできた快速電車の起こす風。最後に手を振った、三人の笑った顔。宝物にしようと思う。