会期の最終に間に合うような形で足を運びました
既にクローズしておりますので申し訳ございませんが備忘録で
「アントワープ王立美術館所蔵 ジェームズ・アンソール
写実と幻想の系譜」
ベルギー近代美術を代表する画家で
ルネ・マグリッドやポール・デルヴォーと並び
日本でも知名度の高い画家の絵が
一挙に観られるという、貴重な機会でした
印象に残った作品を、年代順不同ではございますが
数点ご紹介いたします
《帆船》 ジェームズ・アンソール 1890年
ルドンの影響を受けたアンソールが写実から大きく表現を変え始めた頃
海が好きだったアンソールですが
その割には海を描いた作品が少ないようですから貴重
この作品は筆ではなくナイフで描いています
しかもパレッドナイフだそうですから珍しいです
《海浜の着替小屋》 ジェームズ・アンソール 1876年
19世紀、欧州の上流階級は
夏の休暇を数ヶ月海辺で過ごすようになりました
この乗り物は着替えが出来、このまま馬で海まで引かれて行き
上品に海に入るという目的で使用されたもの
《浜辺にて》 ペリクレス・パンタジス 1880-84年頃
ギリシャの画家、パンタジスはパリやブリュッセルに住み
クールベの熱心な模倣者として主題や技法を仲間達に伝授
アンソールは晩年期に入っても尚、パンタジスを好み
その巧妙な色使いを賞賛しました
他にもアンソールが影響を受けた
オランダ・フランドル絵画(ルーベンス、ヴァ・デル・ネール、
ニコラス・マース、ヴァン・ダイク、ピーテル・ブリューゲル(子)等々)
の作品も併せて見ることが出来ました
《牡蠣を食べる女》 ジェームズ・アンソール 1882年
207cm×150cmという非常に大きな作品に込められた
アンソールの創作欲をうかがい知ることになる作品
午後の日に、女性がひとり
牡蠣と白ワインを楽しんでいる光景を
テーブルの上のひとつひとつのモティーフを
美しく輝くように描いて
優雅で上品な作品として見事に仕上げています
《首吊り死体を奪い合う骸骨たち》 ジェームズ・アンソール 1891年
写実から幻想へ
ここから骸骨だらけになってくるのですが
このあたりが最もよく知られるアンソールでしょう
象徴主義的でグロテスクと言われる作品が並びます
《絵を描く骸骨》 ジェームズ・アンソール 1896年
今回は展示のコンセプトがとても素晴らしかったのが印象的で
分かり易い解説などが随所にあったので書き写しました
グロテスクな作品の要素を
アンソールが何から得たかがシンプルにまとめられています
★レンブラント 神秘的で劇的な光の表現
★ルーベンス、ドラクロア 表情豊かな輪郭線
★ジャポニズム、シノワズリー、初期フランドル美術
非現実的、奇怪な生物のモティーフ
★14,15世紀の「死の舞踏」 骸骨のモティーフ
★「コメディア・デラルテ」(イタリアの仮面劇)、
カーニヴァル、オステンドの土産物、
ワトーやブーシェによる「雅宴画」(フュート・ギャラント)
仮装、仮面のモティーフ
《悲しみの人》 ジェームズ・アンソール 1891年
アンソールの作品の中でも最も優れたもののひとつと言われます
まさに、いばらの冠で血だらけのキリストの顔は
日本の鬼の顔にも似て
苦痛や怒りを表した、キリストらしからぬ表情
《陰謀》 ジェームズ・アンソール 1890年
アンソールは洋の東西を問わず、様々な芸術から
仮面や骸骨のモチーフを確立していったわけなのです。
ラストを飾る大作の「陰謀」も
そうしたアンソールの辿った道を踏まえると
また新鮮に写るもの
さらに最後にはアンソールが音楽を好み
作曲を手がけていたことにも触れています
今回のアンソールは本当に面白かった
画家の一生を辿り
こうも作風を変容させていく様を一挙に見せられたことに
驚きと発見がたくさんあって
素晴らしい展覧会でございました









