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夏の日の歌
青い空は動かない
雲片(くもぎれ)一つあるでない
夏の真昼の静かには
タールの光も清くなる
夏の空には何かがある
いぢらしく思はせる何かがある
焦げて図太い向日葵が
田舎の駅には咲いてゐる
上手に子供を育てゆく
母親に似て汽車の汽笛は鳴る
山の近くを走る時
山の近くを走りながら
母親に似て汽車の汽笛は鳴る
夏の真昼の暑い時
私には母がいる
私は結婚して義母ができた
私は子供を生んで母になった
私の友人も皆、母になった
母になってもまだ
母というものがいったいどういうものなのか
よくわからない
私は母になって初めて
自分よりも大切な存在があることを知った
自分よりもだ
私は母になって
孤独とはどういうものか
愛とはどういうものか
少しずつ少しずつ教えられている
その幸福を手放すことなかれ
その幸福は温め続けていくもの
その幸福にはやむなく終わりもやってくる
その時まで幸福を手放すことなかれ
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