*8週目*

彼には、堕胎してないことを秘密にしてた。

このままずっと秘密にして育てよう。

そう思ってた。

園長に相談した。

甘い、と言われ、お金の事、子育ての事、私自身の人生の事、

厳しく、的確に、核心をつかれた。


ようやく、真剣に、お金のことを考えた。

子供の気持ちも考えた。

父親がいないということは

どれほどダメージを与えてしまうのか。

たくさんたくさん考えた。

私には父がいるから、

私がいくら考えたって本人の気持ちは

わからないのだ。


また、堕胎を考えた。

私の勝手な気持ちで産んで、

この子は幸せになれるのか、

私はこの子を幸せにできるのか、

何もわからなくなって、

おろした方がいいのか、と本気で思った。


よし、さよならしようと一日中思いながら

仕事した日があった。

その日、仕事中すごく嫌な気持ちだった。

笑って走り回る子供たちを観ながら、

「なんで生きてんの。幸せ者ね。」

なんて思った。

Rくんという2歳の男の子に

「先生、赤ちゃんいてる?」と聞いてみた。

その前にも数人に同じことを聞いてみたが、

みんな、「おらんわw」と言ってた。が、

R「いてるー」

私「うそ!?」

するとすぐに逃げたがるRくん。

R「あかちゃん、ないてる。おこってる。」

それで我に返った。

私まで裏切ってどうするんだ。

多分、あの嫌な気持ちは赤ちゃんの気持ちだったんだと思う。


彼のお母さんと会って話した。

「今回は、どうにか、諦めてもらえへんやろか…?」

と何度もお願いされて、

まるで悪いことをしてる気分になった。

彼のお母さんはとても良い雰囲気で、

おかんって感じだった。

そして、以前に園長に言われたのとそっくり同じことを言われた。

もう、自分の中で、出せる答えは出していた。

答えるのは、答えてもわかってもらえないだろうと思い、

私はひたすら、はい。はい。とうなづいて、

彼のおかあさんの話をひたすら聞いた。


子供もあなたも幸せになれない、と言われ、

プチン、と何かが切れた。

「子供はわからないけど、

 私が幸せじゃないなんてどうして決めつけてるんですか?

 私は、好きな人の子供を授かれて幸せです。

 今も幸せです。」

と答えた。

あなたのお母さんも2回流産してるけど、その後4人も生まれてるでしょ?だから大丈夫よ。

と言われ、またプチン。

「でも、流産してしまうのと堕胎は違いますよ?」

というと、彼のお母さんは困ってた。


彼は私の目をずっと見ていて、

彼「もう気持ちが固まってるねんな」

と言った。

彼「やっぱり、おろしてもらうのが一番やけど、

  どうしても産むなら、もう何も言わない。

  俺の勝手な気持ちは押し付けない。」



その後も毎日毎日悩んで考えて

ひどく疲れていた。

自分の人生なんてどうでもよくなってた。

子供を殺すくらいなら、私も死のうと思った。

そうじゃないと、子供に向ける顔がない。

私は、殺してのうのうと生きていくなんてできない。

そんな世界に生きたくない。

何度も死のうと思った。

どうやって死のうかと考えた。

それでも、自分がこの子の親であることを思うと、

私が死ねば、私の両親が辛い思いをしてしまう。

それも耐えれず、

途方に暮れて疲れた。

何度か、「もういいよ」と声が聞こえたきがした。

この子は、私の気持ちを、ずっと唯一聞かされて、

きっと私と同じくらい、きっと私よりも、傷ついたはずだ。


*9週目*

お母さんが大阪に来てくれた。

悩みつかれていた私は、また、さよならすることを考えていた。

お母さんに、「"ばんばんざい"ではない」と言われ、

多分この子が悲しんだ。

疲れてたのもあって、

もう逃げたかった。

それで、私は、ぼろぼろになって

反対したみんなが後悔すればいい、と思った。

人のせいにして逃げたかった。


翌日、我に返った。

何度繰り返して何度この子を傷つけるのか、私は。


私は、この子が生きるのを諦めなければ、

私も諦めずに生きよう、と思った。


病院に行くと、できかけの体で、でも、

しっかりと生きている我が子に感動した。

がんばってるのは、私じゃなくて、この子だ。


*10~11週*

気持ちが定まって、安定した^^