「‘助けてもらう’が自立の一歩!?」東大ママ大学院生の寄稿コラム第19回 | 1999年誕生、日本&世界のマタニティマークの先駆けBABY in ME®公式ブログ

「‘助けてもらう’が自立の一歩!?」東大ママ大学院生の寄稿コラム第19回

 

オリンピックも終わり、8月も残りわずか。

台風や大雨と気になる天気も続いていますが、

皆さん、いかがお過ごしですか?

 

さて、東大ママ大学院生の斎藤さんから

寄稿コラムが届きました。

 

今回のテーマは「自立」。

いつもながら、本当に興味深いお話です(^ ^)v

 

早速、お楽しみください。

 

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こんにちは!
東大大学院生の齋藤早苗です。

 

小学校の夏休みも終わり、2学期が始まりました!

 

夏休み、お子さんたちはどんなふうに過ごしてましたか?

 

わが家の子どもたちはほぼ
「家でゲーム」「プールで水遊び」
で夏休みが終わりましたよ……。

 

無為でなんの役にもたたない日々が極上のたましいを育む、
と思っていても!!!
怠惰に過ごすことの贅沢さを理解していても!!!

 

母としては、そんな子どもたちの姿にイライラしっぱなしでした~(-“-)


とはいえ、母が仕事のあいだは、昼食を自分たちでつくり、
ごはんを研いで炊くところまでできるようになって、
10歳をすぎると成長するのだな~!!と実感する休みでもありました。


かつては、母が遠方に出かけているときに限って、


子「カギ忘れた~~」
私「えーーー!!どこから電話してんの??」


というやりとりが何度あったことか。


そのたびに、子どもたちが、


「同じ階の○○さんちで電話かけさせてもらってる~」
「近所の○○くんちで宿題しながら待たせてもらうね~」
「児童館で待ってる~」


と、あらゆる伝手を頼って連絡してきました。

 

あるときは
「お友達の○○ちゃんのママからお金借りたから、

 カギとりにいく~」
「駅員さんから電話かりた~」ということも!


いやはや、ほんとうにたくさんのみなさんに助けていただき(汗、汗)
感謝しかありません。

 

わが家の子どもたちは携帯電話をもっていないので、
知恵を絞り頼れる人を探して歩いてる姿を想像すると、
(ご迷惑おかけしてることは重々承知ですが)
なかなかたくましく育っているなぁ、と感慨深いです。


もちろん、携帯電話をもっていたら、
だれの助けも借りずに
即座に「親」に電話でき問題解決の方法を

教えてもらえるかもしれません。
でも、


それはもしかすると、

子どもが「自立」する力を奪っているかもしれません。

 


小児科医で東京大学先端科学技術研究センターの

特任講師を務める熊谷晋一郎さんによれば、

「自立とは、依存先を増やすこと」

なのだそうです。

 

一瞬、
えっ?「自立」なのに、なんで「依存」が出てくるの??

 

熊谷さんは、新生児の時に仮死状態に陥り脳性まひの障害を負い、

身体をうまく操れないのだそうです。


そのような身体状況を生きるなかで、
“障害者”とは「依存先が限られてしまっている人たち」のことだと
気付いたそうです。


健常者は、なににも頼らずに自立しているのではなく、
健常者向けにつくられた
たくさんのインフラや道具、制度に、
広く浅く依存することができるから
自立していると錯覚できるのだと。


「依存できるところ」をたくさんもっている人が「自立」している、
という逆説を知り、
それまでかけていたサングラスをはずして世界をみるような、
新鮮な気持ちに包まれました。


子育ての時に、


「他人に迷惑をかけないようにしよう」

と、親が背負い込んでしまったり、
なんでも子どもが一人で解決できるように教えるよりも、

 

「たくさんのひとに、ちょこっとずつ頼りながら生きていく」
ことを教えることが「自立」を促す、
という側面があるといえるかもしれません。


わたしたち大人も、
「たくさんのひとに、ちょこっとずつ頼る」
を実践できてこそ「自立した大人」だと思えるようになれば、
気が楽になるんじゃないかな。


親としては、気が回らず放任でダメダメなわたしですが、
そのぶん、
子どもたちは、
親以外のおとなにヘルプを出せるくらいに成長している、
とポジティブ・シンキング!!(笑)

 

わたしもまた、他のお子さんの依存先になれればいいな、
と思いつつ、
たくさんのおとなのみなさんに、これからもお世話になります。


熊谷晋一郎さんのお話しはこちらでご覧いただけます。
TOKYO人権 第56号(平成24年11月27日発行)インタビュー
    「自立は、依存先を増やすこと。希望は、絶望を分かち合うこと」
    http://www.tokyo-jinken.or.jp/jyoho/56/jyoho56_interview.htm

 

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私たちは、周りに支えられて

「自立している気にさせてもらっている」。

 

お互いが、ほぼ同じ程度の力加減で、

支えられたり支えたりしているから気にせずにいるんですね。

きっと。

 

社会で生きていく以上、スタンドアローンはありえません。

 

自分は大勢の人に支えられていると気づくことが、

「自立」の(大人の?)第1歩なのかも…

 

齋藤さん、今回もありがとうございました!

また次回を楽しみにしていま~す(^ ^)/