「我をこれ以上怒らせるなよ?‥…」
そんな事はお構いなしに、不敵な笑みを浮かべたグリンダは腰の剣をゆっくりと抜いた。
それは見た事も無い剣だった。
美しく透き通って見えるその刀身からはメラメラと炎が立ち昇っている。その熱が離れた所にいるカイルにも届く程に。
グリンダは笑みを浮かべたまま先頭の男に刃先を向けると、無言でテーブルに向かって剣を振り降ろした。
〈パンッ!〉と弾けるような音と共にテーブルは真っ二つに割れ、断面は燻り、煙が上がった。
「まてまて、お前たち!」
店主が慌てて間に入って来た。
「この方にはお前たちが束になっても敵わん!下がっていろ!」
真っ青になって詫びる店主にニッコリと笑いかけると、グリンダは剣を納めた。
「私共の不手際にございます。どうかお許し下さい。」
「お主が話のわかる相手でよかった。」
「滅相もございません!大変なご無礼を致しました。ささ、奥の部屋でお寛ぎになっていてください。すぐに準備を致しますゆえ‥…」
手のひらを返したかの様な態度に面食らっているカイルをヒョイと立たせるとグリンダは歩き出した。
「ああ、そうだ。誰が口の固い男も一人頼む。使いを頼みたいのだ。」
「承知いたしました!」
二人は案内されるままに店の奥へ行き、豪華な部屋で丁重なもてなしを受けながら準備が出来るのを待つことになった。