ローラさんに案内されながらガライの町を歩いた。
「着きました、ここです。」
宿屋といってもそこはよくある町の家と変わりがない建物だった。
「ラダトームの町の宿屋と同じ感じなんですね。」
「はい、旅人と言っても行商人が主なお客様でしたから、格安な宿なんです。」
「誰か来たのか?」
声がして、奥の方からのっそりと壮年男性が出てきた。
「おっ客か。私は主のホフマンです。」
出てきた壮年男性はそう名乗りながら手を差し出した。
「僕はラダトームから来ましたアレフと申します。」
出された手を握りながら自分もそう名乗った。
「こんなボロ宿ですが、まっ寛いで下さい。」
そう言って力強く手を握り返したホフマンさんはそのまま腕を取って僕を部屋へ押し込んだ。
「暫くしたらメシになります、部屋で休んでて下さい。ごゆっくり。」
そう言って慌てて戸を閉め足早に去っていった。
・・・・・・そこそこ時間が過ぎて腹の虫が騒ぎ出しそうなので様子を見るべく戸に手をかけた。
『開かない!』
鍵が掛けられている。