「マウスの細胞を若返らせる実験」に成功、腎臓や皮膚の機能が若返ったことが示される

２０２２．３．８

「人間を含む動物にとって老化は避けられないものですが、加齢と共に骨がもろくなったり筋肉が衰えたり、その他さまざまな病気のリスクが増加したりするため、多くの科学者らは「肉体を若返らせる方法」について研究してきました。新たにアメリカのソーク研究所などの研究チームは、京都大学iPS細胞研究所の所長を務める山中伸弥教授らが特定した遺伝子を用いて「マウスの細胞を若返らせる実験」に成功したと報告しました。

　2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した山中氏は、多くの細胞に分化できる上に自己複製能力も有している人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発で知られています。iPS細胞は体細胞に4種類の遺伝子(Oct3/4・Sox2・Klf4・c-Myc)を導入することで作製でき、この4つを合わせて「山中因子」と呼ばれています。

　iPS細胞に関する研究の多くは動物から採取した細胞に対して遺伝子を導入しますが、ソーク研究所のチームは生きた動物に山中因子を導入することで、老化した動物を若返らせる手法を研究してきました。2016年には、早老症のハツカネズミに山中因子を導入する実験を行い、早老症を患う個体の寿命を延ばすことに成功しています。

iPS細胞作製技術の応用で「老化」を巻き戻して若返らせることが可能に、早老症マウスの延命に成功 - GIGAZINE

　研究チームは体内の細胞へ長期的に山中因子を導入した際の効果を確かめるため、「生後15～22カ月(人間では50～70歳に相当)のマウスに定期的に処置する」「生後12～22カ月(人間では35～70歳に相当)のマウスに定期的に処置する」「生後25カ月(人間では約80歳に相当)のマウスに1カ月間処置する」の3グループに分けて実験を行いました。

　実験の結果、長期間にわたり山中因子の導入を行ったマウスにおいて、がんやその他の健康上のリスクを増加させることなく、腎臓や皮膚といった組織が若返りの兆候を示しました。具体的には、処置を受けたマウスは「ケガをした際に皮膚細胞が増殖する能力」が処置されなかったマウスより高く、傷痕が残る可能性も低かったほか、血液中の代謝分子が正常に老化したマウスに見られる変化を伴わなかったとのこと。さらに、炎症や細胞死、ストレス反応を引き起こす遺伝子発現の減少や、老化の指標となるDNAメチル化パターンも年齢に逆らって巻き戻されたと研究チームは報告しています。

　研究チームは、1カ月間のみ処置を受けたマウスでは若返りの兆候がみられなかったほか、長期的な処置を行っている途中のマウスを分析した場合は若返りの効果が明らかでなかったことから、山中因子による処置が単に老化を一時停止しているのではなく、細胞を若返らせていることが示唆されていると主張。しかし、この点についてはさらに多くの研究が必要だとのことです。

論文の共著者であるソーク研究所のPradeep Reddy氏は、

「私たちが本当に確立したかったのは、このアプローチの長期間にわたる使用が安全だということです。確かに、これらの動物において健康・行動・体重に悪影響は見当たりませんでした」と述べています。

　論文の上級著者を務めたソーク研究所のJuan Carlos Izpisua Belmonte氏は、

「私たちは一般的な動物の老化を遅らせるため、このアプローチを生涯にわたって使用できると意気込んでいます。この技術はマウスにおいて安全で効果的でした」「このアプローチは加齢に伴う疾患への取り組みに加え、神経変性疾患などの異なる疾患においても細胞の機能や回復力を向上させて、組織や生体の健康を回復させる新しいツールを、医学会に提供する可能性も考えられます」とコメントしました。

　今回の研究結果はあくまでマウスを対象にしたものであり、人間に適用するには長い時間がかかると考えられています。Reddy氏は、

「私たちは最終的にストレスや傷害、病気に対してより抵抗力を持つように、古い細胞に弾力性と機能を持たせたいと考えています。今回の研究は少なくともマウスにおいて、それを達成するための道筋があることを示しています」と述べました。」

解説；

　動物の細胞は、よほど例外的な種以外、全て時間と共に老化します。

　植物、特に挿し木や取り木が出来る木の細胞の場合、挿し木や取り木の技術が示す通り、形成層を含む若い芽の部分を新たに苗として使用すると、その枝が新たな木として成長し、その木の本来の寿命まで生き続け、同じことを繰り返すと永久に生き続ける事が知られています。形成層の細胞は、こうした木の場合、細胞分裂を無限に繰り返しても老化しないのです。

　残念ながら動物の細胞は分裂のためにテロメアが短くなり、DNAに点変異などの異常が蓄積し、細胞質内にもβアミロイドなどの有害な老化物質が蓄積し、一定限度まで分裂すると１００％死滅します。

　ところが動物細胞でも、植物の形成層の細胞のように永遠の命を持つ細胞、永遠に老化せず分裂可能な細胞が存在します。それは生殖細胞です。

　精子と卵子が出来る場合、テロメアの長さが延長し、細胞は若返ってあらゆる細胞に分化可能な幼弱な万能細胞になります。

　従って、生殖細胞のように細胞を若返らせてテロメアを伸ばす事が可能であれば、その細胞は不死化し、永遠に分裂する能力が得られることになります。

　人体で最も若く寿命が長く全ての細胞に分化可能な受精卵を分裂増殖させて医学に利用しようという発想があります。けれども受精卵は正常に発育すれば人間になりますから、移植医療に使うには生命倫理の問題が生じます。

　そこで考えられたのは、細胞を若返らせ万能化させる遺伝子を導入する事で受精卵のような機能を持った細胞を作り、病気の診断や治療に応用しようとする発想が生まれ、その結果開発されたのがiPS細胞です。

　ただし、外から遺伝子を導入した場合、その細胞は過剰にその遺伝子を持つことになり、この遺伝子は細胞を若返らせて分裂増殖させる遺伝子ですから、それは限りなくガン細胞に近い細胞なのです。

　しかも、外部から遺伝子を導入した場合、その遺伝子が細胞の遺伝子に組み込まれると、組み込まれる過程で様々な遺伝子に影響を与え、機能を低下、消失させたり、活性化させる事があり得るのです。

　細胞のガン抑制遺伝子が機能消失するか、ガン遺伝子が活性化すれば、その細胞はガン化する可能性があります。

　iPS細胞は、研究には有効ですが、移植医療においては日本以外、ほとんど見向きもされていないのは、この細胞そのものがガン細胞に近く、移植されたこの細胞内でさらに遺伝子の点変異が生じた場合、正常な細胞よりもはるかにガン化しやすいと考えられるからです。

　安倍晋三と与党とは、この細胞で金儲けする事だけを考え、与党に忖度する悪質な医師は移植に平然と利用していますが、山中教授自身は最初から、この細胞は診断目的であって臨床応用される段階ではないと明言しています。

　この細胞がガン化した場合、目に移植された場合には目を、心臓に移植された場合には心臓をえぐり取らなければならなくなります。従ってこの細胞を移植に使用している研究者や医師は、患者の生命のためではなく、与党への忖度による金と名誉を狙っている人間のクズであることがわかります。

　iPS細胞が、細胞の若返りと増殖を起こす遺伝子の導入で出来、メリットデメリットはこれでわかったと思います。

　今回の実験は、iPS細胞を使用した若返り実験ではなく、この細胞を作るのに使用されている山中因子と呼ばれる4種類の遺伝子(Oct3/4・Sox2・Klf4・c-Myc)を、試験管内ではなく、実際に生きている動物の細胞に導入したという実験です。従って、実験動物でガンが起きたり、本来存在しない過剰な遺伝子の存在によって悪影響が起きないかどうかを検討しています。目的は、投与された動物の体細胞を意図的にiPS細胞化させ、細胞の若返りと増殖機能を高め、様々な細胞への分化機能を持たせる事によって、その動物の組織、臓器、最終的にはその動物全体を若返らせ、細胞増力機能を高める事で衰えた臓器の機能を再生させる事です。

　この実験の結果としていえる事は、確かにこの方法によって老化を食い止め、動物の寿命を延ばし、若返らせ、傷を治りやすくさせる事が可能であり、しかもガン化などは認めなかった。ただし、一回投与や短期間投与では効果がなく、長期投与し続けなければならないと言う事でした。

　問題はいくつか存在します。

　第一に、人間の遺伝子をマウスに導入するのですから、その遺伝子はいずれ免疫系その他によって異物と認識され排除されるはずです。単回投与や1カ月投与では効果が無かったのですから、山中因子は排除され細胞内で存在し続ける事は出来なかった事がわかります。人間に使用した場合でも、他人の遺伝子を使用した場合には同じように排除されることが予想されます。

　第二に、山中因子が異物として認識され繰り返し短期間に排除されるという事は、仮にその細胞の遺伝子に点変異などが生じ、細胞の機能不全やガン化が置きかけたとしても、非自己として免疫細胞が排除してくれる可能性が高いですから、ガンなども起きにくく出来ると考えられるのです。

　少なくとも、ガン化する恐れがあり、増殖因子を人為的に導入されたiPS細胞を移植に使用し、永続的に生体内で分裂増殖を繰り返させ続けるよりは、はるかにガン化する可能性が低いと予想されます。

　ただし、マウスの寿命は人間よりはるかに短いですから、こうした遺伝子導入を実施されても、ガンが発症するまでに老衰で死亡しますので、０歳の乳児にiPS細胞を移植した場合のような長期的なガン化などの合併症が起きないかどうかは確認出来ません。

　第三に、試験管内でiPS細胞を作成する場合、最良の条件下で山中因子を導入しても、導入されなかったり導入されてもその細胞が死滅したりするために、わずか３０％程度しかiPS細胞にはならないのです。

　よって、生体に直接山中因子を導入した場合、そのほとんどは思い通りに導入出来なかったり、目的臓器に細胞に十分導入出来ない可能性も考えられます。

　第四に、誰の山中因子を使用するのかという問題があります。最も異常が少ない山中因子を得るためには、化学的実験室内で合成するか、新生児の幹細胞のような若い個体の細胞から山中因子を分離する必要があります。

　他人の山中因子の場合、患者にとっては異物ですから、マウスのように排除され、繰り返し投与が必要になる可能性が高いでしょう。

　自分自身の細胞から山中因子を抽出して使用する場合、その人の線維芽細胞や口腔粘膜の細胞を大量に増殖して使用する事になります。その場合、自分自身の遺伝子ですから拒絶は起きにくいでしょうが、逆に拒絶されないために、細胞内で遺伝子が長期に留まり、その細胞をガン化させる恐れがあります。

　第五に、自分自身の山中因子を使用する場合、それが高齢者の物であれば、その遺伝子自体に加齢による変異などの異常が集積している可能性があります。その点でも、その遺伝子が正常に機能しなかったり、導入された細胞がガン化などの異常を起こす事が懸念されるのです。

　若返り、それはまだまだ人類の見果てぬ夢であると言えるでしょう。

　生物には寿命があります。

　１０００年の時を生きられる長寿の巨木も、いずれは枯れて死ぬ事になり、個としての命は終わります。単細胞のゾウリムシは無限に分裂して生き続けますが、定期的に他の個体と遺伝子の一部を交換し、自分自身の命の一部を相手に提供し、相手の命の一部を貰わなければ死滅します。全く同じ遺伝子のまま永遠に分裂して生き続ける事は出来ません。

　人間も他の全ての動物同様死にますが、他者を限りなく不幸にする人々や残忍な人間、旧態依然とした発想のまま、新しい公正な価値観を決して認めず、若い世代を抑圧し続けるような人間、ナチス・ヒトラーや大日本帝国の天皇、ブッシュ父子のような残忍な権力者や独裁者も例外なく死にますし、狡猾な人間がいかなる嘘をついて人々を洗脳しだまそうと、どんなに権謀術数を駆使した政治家であろうと最後には死んで終わりです。

　若い世代に命を託すのが生物全ての姿なのです。人間も死ぬからこそ、老いた世代が権力を自分のためだけに漬かって悪事を続けられないのです。

　人間が天使か神仏のように慈悲深くなり、他者や隣人を自分自身のように愛する事が出来るようにならない限り、若返りや寿命の延長は、実現しない方が良いのではないでしょうか？

　仮に若返りや不老不死が実現出来るようになったとしても、今の世界のままならば、与党政治家や財閥、超富裕層や権力者など、世のため人のためにはいなくなった方がはるかに良い人間だけがいつまでも生き続け、世界は未来永劫、悪辣で狡猾、計算高く残酷で貪欲、横暴で卑劣な人間だけが支配する地獄になるでしょう。

ナチス・ヒトラーによる虐殺。

IPS細胞、マウスを若返らせる。