任地チルヌマンディディ(以下チル)に住み始めて早8か月。

断水やら暑さやらで不満や苦労もたくさんあるのですが、

行事や旅行でしばらく任地を離れていると「あぁ、チルに帰りたいな・・」

と思うくらいには任地が好きになっています。

 

ところが!私の住むこのチル、マダガスカル人からのイメージが非常に悪いのです・・。

今日はそんな悪評の数々(?)も含め、任地チルについてご紹介します。

 

 

木が少ない乾季のチルでは一面こんな景色。

 

 

「私の任地ってもしかして嫌われてる・・?」と初めて感じたのはとある活動中のこと。

その日はマダガスカルの各地からPAPRIZ(コメ生産性向上・流域管理プロジェクト)の

普及員達がチルへ集まり、泊りがけで研修を行っていました。

 

普及員達と話しているとみんな口をそろえて「早く帰りたい」と言うのです。

どうして?と聞くと「チルは怖いところだからだ」と。

 

その後もチル以外に住むマダガスカル人と話をする度に、

 

「チルは怖いからあんまり行きたくない」

「チルに住んでるなんて怖くないの?」

「どうしてチルなの?働く場所は自分で選べないの?」などなど・・。

 

仮にもその"怖いところ"に2年住んで働く身としては、とても複雑な気持ちになります笑

 

どうしてそんなにイメージが悪いのか。

その理由の一つに「Dahalo(ダハロ)」の存在があります。

 

 

チルで起きたダハロ絡みの事件を伝える新聞

 

 

ダハロは牛の武装強盗団。簡単に言うと「牛どろぼう」です。

銃で武装した集団が村落を襲撃し、大切な資産である牛を奪います。

 

マダガスカルの牛は食料であり資産であり労働力。それだけ大きな価値があります。 

農村の厳しい経済状況や過酷な暮らしぶりを実際に目にしているため、

大切な資産を根こそぎ奪っていくダハロには心底腹が立ちます。

 

ただ、彼らも生活が苦しいのは農民と一緒。

生きるための最終手段として「ダハロ」という職業があるのだと思うと、

なんだか複雑な気持ちになります。

 

チルは「牛の町」と言われるほど牛の取引が盛んな町。

毎週牛市の日には、牛が詰め込まれたトラックが町中を走り、

中心部を少し外れると、牛の群れを人間と犬で放牧している光景をよく目にします。

 

牛を詰め込んだトラック

 

町の中心にある牛のモニュメント

 

 

牛の価値が高い→チルには牛がたくさんいる→ダハロが増える、という構図で

チルはダハロ多発地帯として昔から悪名高いそう。

 

実際に農村を回っていると、大抵どこも一度はダハロの被害にあっています。

ついこの間も同僚の知り合いが住む村にダハロがやってきて、

抵抗した2人が無残に殺されてしまったとのこと・・。

 

そんな背景もあり、チルは他の地域の人から見ると、

「ダハロがいるなんだか恐ろしい町」という印象が強い様なのです。

 

しかし!当のチル住民達は慣れたもので、私がこわごわダハロについて聞くと・・・

「彼ら足腰強いから走ってくるよ。」 「大抵夜見るけど、たまに朝くる。」

と、まるで焼き芋屋の話でもしているようなノリ笑

 

とはいえ、チル住民でさえ日没後は外出を怖がっているのを見るあたり、

治安があまり良くないのは本当なのかもしれません。

 

ただ、そんな悪評のおかげ(?)で、チルにいる時は常に警戒モード発動中のため

今のところ危ない目に遭うこともなく、平穏な日々を過ごしています。

 

他の任地に比べると、ちょっとやんちゃ目な人が多い気もしますが、

みんな本当に明るく親切で、私はこの町とチルの人々が大好きです。

 

今後も一住民として、チルの魅力を発掘、発信していきたいと思います。

マダガスカルの皆さん!チルヌマンディディ、言うほど怖いところじゃないですよ~!笑

 

チルのお気に入りスポット