7月の読書メーター
読んだ本の数:20

 

安部龍太郎『ふりさけみれば』

大国:唐に認められ、独立国家として歩むには

日本という国の成り立ち、どのような民族なのか

そして天皇の正統性を証明しなければならない。

 

『古事記』や『日本書紀』に書いてあることは

正しいのか?

破綻はないのか?

 

7~8世紀。

遣唐使として唐に旅立った阿倍仲麻呂とともに

その疑問に悶々としながら読む。

彼にも家族がある。

使命のために、家族や心を犠牲にしなければ

ならなかった。。。

仲麻呂さんは、結構、淡々と処していく描写がつづくだけに

心の内を想像すると、もうたまらない哀しみが溢れてきた。

 

ひとりの個人。だけれど、どうしても

成し遂げなければならない任務を

与えられたとき、どうするのだろう。

どう生きるのが正解だったのだろう。

いろんな見方ができる物語でした。





マザーズマザーズ感想
11年前にも読んでた。あまりに強い物語はすぐに再読できない。それほど、に長く間をおいてしまうほどの物語だったことを改めて実感する。モデルの五月、小説家のユカ、専業主婦の涼子。子どもという絶対的な弱者であり王者を、愛しぬき生かし続ける女の、孤独と痛み。共感だけでいいのに、それすら得られない苦しさが、これでもかと言語化されている。どんな立場であっても、妥協点というか、自分なりの落としどころを、手探りで探す中で、それぞれの地獄を見ているのだということを理屈でなく、現実世界の行動を通して提示してくる物語。
読了日:07月05日 著者:金原 ひとみ


男と女の台所男と女の台所感想
何度読んでも新しい発見がある。キッチンをメインにした、日々の暮らし。webの連載が楽しみで、どちらかというと写真よりも、もっと文章が読みたいと思っていたので、私にとっては嬉しい構成だった。同じ食卓で別々のものを食べる、食べるものへの情熱の違いって、家庭を壊すこともある。だからこそ、同じ食卓を囲める相手との時間の尊さを心から味わうこともできる。そのことに気が付けて良かった。
読了日:07月06日 著者:大平一枝


ふりさけ見れば 上ふりさけ見れば 上感想
阿倍仲麻呂の名前だけ暗記していて、いったい何をした人物なのか、無知なまま手に取る。なのに、もう夢中。面白い。遣唐使として唐に渡ったまま日本に戻ることがなかった仲麻呂さん。唐と日本の関係性(さまざまなお伺いや最新技術を学ぶために派遣されるわけだから、唐の方が偉大)に目から鱗。現地で官僚になるほど優秀、そして、温かい夫婦関係。それを壊すほどの残留理由にも驚く。
読了日:07月06日 著者:安部龍太郎


成熟とともに限りある時を生きる成熟とともに限りある時を生きる感想
なんでも説明しようとしてしまうのは、批判されたと思うからかもと気が付いた。例にあったように、4時に起きるなんてどうして?!と言われたら、わからない。その方が気持ちがいいから。そんなふうに肩の力を抜いて、さらっと答えるのってちょっといいな。そうか、理解してもらおうとするのではなく、自分が心地いい空間・時間を共有するだけでもいいのかも。そんな軽やかさもいいな。
読了日:07月08日 著者:ドミニック・ローホー


七人怪談七人怪談感想
どの話も続いている、続いていた。という、逃れられなさがあって怖い。なかでも、澤村伊智氏の会社系怪談(この響きだけでも怖いわ)が一番怖かった。会社と土地、そこに歴史が繋がれば、なにかあるよね?!と思わされる。七人の作家さんたちが、自分が一番怖いと思う話を書くというスペシャルな贅沢さ。1冊で見事に七つの異世界が堪能できました。
読了日:07月08日 著者:三津田 信三,加門 七海,菊地 秀行,澤村伊智,霜島 ケイ,名梁 和泉,福澤 徹三


わが性と生 (新潮文庫)わが性と生 (新潮文庫)感想
瀬戸内寂聴さんと瀬戸内晴美さん、出家されてから変わった事、変わらないこと。おおっぴらに言えない、下のお話があったりして、徐々に引き込まれていく。いやらしいというのではなく、欲望をそのまま扱うことのユーモア。性の問題は、もう本当にひとそれぞれなのだと思える。もっといろいろな話が聞きたかったな。そして、こんな方がまた出てきて欲しな。
読了日:07月09日 著者:瀬戸内 寂聴


喪失 (TOKUMA NOVELS)喪失 (TOKUMA NOVELS)感想
棟居刑事が出会った喪失を胸に抱く人。1編読むたびに、心の脆い部分に触れてくる。涙をグッとこらえるか、そのままにまかせるか。何かを失った空間は、埋まることはなく、でもそこにこそ光が届く。きっとそうだと信じる。信念が人を動かし、生きるための礎になる。私にとってそれはなんだろうか。「喪失」「一期・・」「後朝の通夜」それぞれに考えさせられる。
読了日:07月11日 著者:森村 誠一


LASTLAST感想
借金で首が回らない。もう崖っぷち。発表されてから20年が経っているけれど、この中に描かれている閉塞感は相変わらず身近なものとして感じる。性の欲望を隠さない、適材適所の「ラストジョブ」、晴れた日は仕事する勤勉なホームレス「ラストホーム」が好き。自分の居場所をどこにみつけるか、それさえあれば世間という無言の圧力からも、心は自由になれる。暗い話もあるけれど、暗いからこそ、本当に小さな光も感じ取ることができる、そんな物語だった。
読了日:07月11日 著者:石田 衣良


パリ症候群 愛と殺人のレシピパリ症候群 愛と殺人のレシピ感想
イメージのなかでキラキラしていたパリと、実際に住み始めてから次々に夢が打ち砕かれていくような現実、そのギャップに耐えられなくなったら。。。パリを舞台にした物語って結構好き。自分はこういう者だ、だから此処にいるのだ。ということを一生懸命に言語化する努力をしている人々がいるから。いろいろな愛のカタチがあって、切ない。
読了日:07月11日 著者:岸田るり子


女の機嫌の直し方 (インターナショナル新書)女の機嫌の直し方 (インターナショナル新書)感想
女性は共感が必要。グダグダしたようにみえるおしゃべりの中で、物凄い量の情報と共感の交流をしている。直感やひらめきが欲しい時は、女性脳会議をしてみるといいそう。寄り道がヒント。女の直感って意外と馬鹿にできない、背後の情報量が桁違いなのだ。男性脳会議は、効率よく、結論を最短距離でだしていく。それぞれの特性を生かして仲良くしていきたい。
読了日:07月13日 著者:黒川 伊保子


墨のゆらめき墨のゆらめき感想
書道家の遠田とホテルマンの力。男同士のやりとりがとっても愉快。こんな友達が欲しくなるわ。遠田のいい加減なようで、一瞬で心情風景を把握するような特殊能力が面白い。目の前に、彼が書く文字が、墨のみずみずしさと共にくっきりと浮かび上がってくるように思えて、それも楽しい体験だった。ふたりの友情、ずっとずっと続いて欲しいな。
読了日:07月13日 著者:三浦 しをん


この道の先に、いつもの赤毛この道の先に、いつもの赤毛感想
43歳独身男性のマイカ。職業はコンピューターに特化した便利屋さん。女性と付き合ってもどうも長続きしない、結婚願望はそれほどない。日々のルーティンを大切にして、ガサツに、自由に生きてる。ちゃんと自炊している場面がいくつか出てきて、朝の卵と珈琲や、気まぐれサラダやチリビーンズなんて美味しそう。女心をがわからない典型だけれど、恋人だったキャスのことはもう一度引き留めて!!って思う。
読了日:07月14日 著者:アン・タイラー


やってはいけないダイエット (光文社新書 757)やってはいけないダイエット (光文社新書 757)感想
ダイエットの王道を理論的にわかりやすく説明してくれている。食事とストレス管理。なんといってもストレス管理が必須、食欲や日々の動きに直結する。日々、自分の気持ちを大切に、機嫌をとりながら、なんとなくゴキゲンに過ごす。そのうえでダイエットとしての食事管理。なんだかちょっと目から鱗。部分痩せや、ゆがみ矯正、発汗などでは痩せないのね。
読了日:07月20日 著者:坂詰 真二


ふりさけ見れば 下ふりさけ見れば 下感想
「あまのはら ふりさけ見れば・・・」の歌は、やっと帰国できることになった仲麻呂が、唐で故郷を思い読んだもの。知らなかったわ・・。30年経っても望郷の念はかわらず。それでも使命のために出世していった仲麻呂さん。夢中でよんだ。王朝がかわっても、皇帝の正統性、秘密は守らなければならない。途中で出てきたこの言葉の意味をもっと深く感じたいと思った。きっと、表に出られなかった人物たちが眠っているはず。大きな何かの駒として生かされている、それでも、自分が決めた道を使命感と共に全うしていった人たち。
読了日:07月20日 著者:安部龍太郎


半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資 日経平均リターンを3.86%上回った“割安買い”の極意半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資 日経平均リターンを3.86%上回った“割安買い”の極意感想
著者が暴落したら買いたい銘柄が書いてあり、それだけでなく、何故その銘柄なのか、どこを見ているのか。そして、買いの手法はどうしているのか、そんな細かいことまで丁寧に解説してくれている。他者の思考を辿る旅をしたような。銘柄はプライムの大型が主流なので、いろんな考え方があるけれど、最初はここから入っていくのはとてもよいのではないかしら。
読了日:07月20日 著者:長期株式投資


幸福な生活 (祥伝社文庫)幸福な生活 (祥伝社文庫)感想
ブラックユーモア満載でドキドキした。なんなの?!と思わせられて、いちばん最後のページに、その答えがパッとでてくるの。ほんとにラスト1行に、いや~って思わせられる。ギャンブル好きの富豪と、新婚夫婦の話が一番印象に残っている。ええ?!そっちなの。本当に賢い女性って凄いわ。怖いわ。と思わせられて、もう脱力しちゃった。
読了日:07月22日 著者:百田 尚樹


ああ、ウィリアム!ああ、ウィリアム!感想
元夫とのちょっと奇妙なルーツを辿る旅。長い結婚生活での共通の思い出や、それぞれの秘密、人の心の不可思議さというか、ままならさ、一筋縄ではいかない感じが、これでもかと味わえる。あぁ。なんど一緒に「ああ、ウィリアム!」とつぶやきたくなったことだろう。そのあとには、思わず「ああ、ルーシー!」と付け足したくなる。
読了日:07月22日 著者:エリザベス・ストラウト


愛するということ (幻冬舎文庫 こ 13-2)愛するということ (幻冬舎文庫 こ 13-2)感想
小池さんのエッセイをよんでから読みたかった本。愛した記憶が消しゴムで消せるなら、どれだけ楽なんだろう。でも、それはできない。マヤが愛した野呂は、そんなにいい男だった?と思わず言いたくなる。でもマヤにとっては唯一無二の存在。その存在が愛。出会って一緒に過ごした輝きは消せない。愛を失ったとき、それでも、それでも、時間薬をたよりに生きる。多分、そこにも輝きはある。そう信じたい。
読了日:07月23日 著者:小池 真理子


モン・サン=ミシェルの修道女 四季の食事とていねいな暮らしモン・サン=ミシェルの修道女 四季の食事とていねいな暮らし感想
フランス西海岸の小島の上に建つ修道院。そこから眺める景色の美しいことったら。もう、ため息もの。宗教儀式から四季を感じながら、1年をたどるレシピ集。サックリした貝のカタチのクッキーや、野菜たっぷりのグラタン、四季折々のパイ。なんて美味しそう。労働と祈りの日々を体験してみたい。長期滞在してみたい~っと身悶える。
読了日:07月30日 著者:ローランス・デュ・ティリー


霊視ができるようになる本霊視ができるようになる本感想
ちょっとびっくりタイトルですが、怖くはありません。最近、直感ってなんだろうという想いに囚われている。先に身体が知っていた。みたいな。五感を鍛えるには、日々のちょっとした工夫でできる。眠っていたセンサーを活性化するような感じかしら。新しい視点を得て、今までとは違う見方ができるようになると、面白いなと思う。
読了日:07月30日 著者:シークエンスはやとも



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