数えずの井戸 | バベルの図書館

数えずの井戸

数えずの井戸/京極 夏彦


「怪談の域を超えた京極版皿屋敷」
怪談を様々な解釈で文学へと昇華させる事にかけては、古今においても天才と呼ぶにふさわしい京極先生。 今回もやってくれました。

番町皿屋敷という有名な怪談を、江戸の情緒と番町の闇、様々な人間心理を織り交ぜながら もはや完全オリジナルと呼べるほどの作品にしたてあげています。

登場人物の一人称による心情の告白という形態をとりながら、徐々に佳境に近づいていく様は 静けさが漂う雰囲気にも関わらず何故か鼓動が速くなってしまいます。

そして実際の皿屋敷は、番町、播州、講談など様々な形態があるのですが、それらの要素を全て織り込み、一つの物語として集約する技は見事というほかありません。

ゆっくりと着実に人の心の闇が広がり、狂気の果てに全てが井戸の暗黒へ収束していく。相変わらずの長文ですが、秋の夜長に最適な一冊だと思います。

難易度 ★★★☆☆
インパクト ★★★★☆
泣ける度 ★★★☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★★★☆☆
考えさせられる度 ★★★☆☆
推定読了時間 10時間