1984年 | バベルの図書館

1984年

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)/ジョージ・オーウェル

「自由であるべきか、支配されるべきなのか」

ビッグブラザーというディストピアのシンボルを生み出したこの小説は、人間の尊厳、社会制度と幸福、言論と自由といった重く深い問題を、自由主義・資本主義という一つの答えが出たかに見える現代社会に対しても投げかけているように思います。


党が全てを監視する小説中の社会は暗く、失笑してしまうほどのプロパガンダにあふれ、歴史は改ざんされ、生活レベルも徐々に後退していきますが、決して体制が倒れる事は無く淡々と不気味に日々は過ぎていきます。


そんな党の体制に違和感を覚えた主人公のウィンストンは、やがて内面に党への反発と自由奔放さを持った謎の美女と出会い恋に落ちます。


監視をかいくぐりながら逢瀬を楽しむ二人ですが、やがて体制打倒をもくろむ伝説の地下組織と接触し、反体制運動に身を投じようとしたところで、ついに党の誇る最強の監視組織「思考警察」の手に落ちてしまいます。


そして、物語は20世紀文学史上最も陰鬱といえるエンディングへ向かっていきます。


ウィンストンに訪れた幸福とはいったい何だったのか。無知と恭順こそが唯一の人の解放なのか。自由は人を堕落させるのか。単なる体制批判という域を超え、人の有り様の核心にすら触れようとする鬼気迫る傑作です。


難易度 ★★★☆☆
インパクト ★★★★★
泣ける度 ★★★☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★★★★☆
考えさせられる度 ★★★★☆
推定読了時間 10時間