パラドックス大全
前回推理小説を紹介したのですが、推理について考えていたところ、パラドックスに行き着いてしまったためこの作品を紹介する事にしました。
パラドックスの解釈はいろいろとあるのですが、wikiの解説が非常にすっきりとしていたので紹介したいと思います。
「正しそうに見える前提と、妥当に見える推論から、受け入れがたい結論が得られる事を指す。」
よく知られている物には嘘つきクレタ人の話や、アキレスと亀のゼノンのパラドックス、シュレディンガーの猫などがありますが、ちょっと頭を捻ると「なるほど」と理解できたり、矛盾に気付けるものから、まったく理解できない難解なものまで、膨大なパラドックスが古代ギリシャの時代から現在に至るまで生み出されてきました。
今回紹介する本は、こうしたパラドックスを有名どころから、無限の問題、暗号理論、情報理論にまで幅を広げ俯瞰的に紹介するだけでなく、人の心や認識論にまで踏み込んで解説する非常にエキサイティングな作品です。
私たちは何気なく世界を当然あるものと認識し、理論を信用し、言語によって表現を行っていますが、そうしたものを少し視点を変えて組み替えてみると、途端に矛盾に陥ってしまうことをパラドックスは明らかにします。
そして生きていく上では殆ど支障がないほど世界は明らかにされているにも関わらず、我々が水槽の中の脳みそでは無い事、世界が5分前に一時停止していたかもしれないことを明確に示す術は無い事をこの本は簡潔に教えてくれます。
ページ数もそれなりで難しい内容も多いですが、普段と違う脳をフルパワーで使い、不思議な世界を覗くことのできる力作です。
難易度 | ★★★★☆ |
インパクト | ★★★☆☆ |
泣ける度 | ★☆☆☆☆ |
笑える度 | ★☆☆☆☆ |
怖い度 | ★★☆☆☆ |
考えさせられる度 | ★★★☆☆ |
推定読了時間 | 8時間 |