インシテミル | バベルの図書館

インシテミル

インシテミル (文春文庫)/米澤 穂信


「遊び心満載のメタミステリ」




何年か前に話題になった作品ですが、今年の秋に豪華キャストで映画化されるということで紹介してみようと思いました。


クローズドサークルもので、様々な名作ミステリーへのオマージュも満載ということで、「ミステリ読み」の注目を集め、解釈議論で結構エジキになっているところもありますが、私は個人的に面白いと思いました。


高額な時給でとある実験に参加するというバイトに応募した12名が、謎の閉ざされた実験施設「暗鬼館」に閉じ込められ、やがて主催者の思惑通り殺人を繰り広げる羽目になるという構図は、設定の意外性や目新しさが重視されがちな昨今のミステリ界において、久々に王道回帰した作品が読めるという期待感を持たせてくれます。


そして、設定(前提)をベースに、ホームズ以来の帰納、演繹、消去法を使って犯人を絞り込みながら、メタミステリ的な視点で犯人を特定していくくだりは、古くからのミステリファンの好奇心をかき立てます。


前提との矛盾、動機の弱さといった指摘があるのも事実ですが、作者は初めからそのあたりは目をつむって、遊び心でガジェットを散りばめ、楽しみながら書いているように思います。


たまには頭を捻りながら作者と推理比べをしてみたい。そんな人にお勧めの一冊です。

難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★☆☆☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★★☆☆☆
考えさせられる度 ★★☆☆☆
推定読了時間 5時間