少女地獄 | バベルの図書館

少女地獄

少女地獄 (角川文庫)/夢野 久作



「夢幻を操る作家」


ドグラ・マグラで読者を困惑の奈落に突き落とした夢野久作の短編集です。


表題の少女地獄を始め、童貞、女鉱主など複数の短編がおさめられれていますが、いずれも夢野氏の夢幻を華やかに彩る手腕が十分に発揮されています。


少女地獄では、嘘をつき、それを隠すためにさらに嘘を積み重ねやがて破綻してしまう看護婦の話、妻を次々と完全犯罪で消していく車掌と、それに気付きながらもひかれてしまう女車掌の話、自分を手ごめにした校長をみずからが丸焦げになって復讐する女学生の話が綴られていますが、いずれも得意の書簡体形式を用いることで、読者が直接話しかけられているような臨場感を生む事に成功し、登場人物たちの異様さとあいまって、背筋が寒くなるような感覚を味わわせてくれます。


男女の断絶、心の闇、性的倒錯、生きるために必要な虚栄心といった、古くて新しいテーマを、「ステキ」とか「メチャメチャ」というような軽妙な単語を織り交ぜながら読ませる力量は圧巻です。昭和初期の作品ですが、古さを感じさせず、短編ですので、何かの合間に読める点もお勧めです。


難易度 ★★★☆☆
インパクト ★★★★☆
泣ける度 ★★☆☆☆
笑える度 ★★☆☆☆
怖い度 ★★★☆☆
考えさせられる度 ★★★☆☆
推定読了時間 7時間