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すベてがFになる (講談社文庫)/森 博嗣


「アニメーションとジュブナイルの空気を持つ本格理系ミステリー」


Yahooニュースを見ていたところ、最近理系作家が躍進しているという記事がありました。


そもそも森鴎外とか北杜夫をはじめ、古今東西、理系で作家というのは珍しいことではないと思うのですが、人の内面の多様性を表現する事が難しくなっている現代において、理系的なある種無機質感が新鮮に受け止められているということのようです。


さておき、この記事を読んで最近の理系作家の作品を何か一つ紹介しようと考えたのですが思い立ったのが森博嗣さんの「全てがFになる」でした。


森さんはとにかくタイトルが秀逸です。この作品にせよ有限と微小のパンにせよ最初は意味がよくわからないのですが、斬新なタイトルにまず引き込まれます。


内容は孤島の謎の天才女性科学者が籠るハイテク研究所で起きた密室殺人に、大学助教授と女子学生が挑むという物で、それほど珍しい印象は無いのですが、私がこの小説に惹かれたのは、物語全体に漂うアニメーションとジュブナイルの空気でした。


理系ミステリーというだけあって、綿密な構成としかけ、工学的知識といった固めの構成にも関わらず、エンターテイメントとして気軽に楽しむ事ができるのは、この空気感のおかげだと思います。SFアニメやゲームの持つ感覚です。


最後の謎解きはもちろん理系知識に頼っていますが、それほど難解でもありません。
感情移入という面では若干弱さを感じますが、堅さと軽さが絶妙なバランスで共存し、それが新しい感覚をもたらしたエポックな作品だと思います。



難易度 ★★★☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★☆☆☆☆
笑える度 ★★☆☆☆
怖い度 ★★☆☆☆
考えさせられる度 ★★☆☆☆
推定読了時間 7時間