暗号解読 | バベルの図書館

暗号解読

暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで/サイモン シン


「たった一つの情報が万人の生死を分け、歴史を転換させる」


この本は、暗号と人類の歴史について綴ったサイエンスヒストリーです。著者は「フェルマーの最終定理」で一躍サイエンスライターとしての名声を摑んだサイモン・シン。彼の2作品目になります。


線文字Bやロゼッターストーン、メアリー女王の暗号、ナチスのエニグマ、インターネット上の公開鍵暗号と古代から現代にいたる暗号の歴史を俯瞰しながら、難解な内容を分かりやすく解説し、さらに暗号の発明者と解読者の執念ともいえる人間模様が絶妙に織り交ぜられ、読み物としての面白さも兼ね備えた力作です。


暗号というと、戦時中の通信手段や、スパイ達の情報交換といった非日常的な状況を思い浮かべますが現在のような情報化社会では、パソコンにログインして、ネットショッピングをして、カードで決済すれば素因数分解をベースにした最高レベルの暗号を日常的に利用している事は、あまり意識されていないように思います。


ですがこの本を読むことで、「安全に情報を伝達する」ということが、歴史上の転換点で重要な役割を演じ、さらに大戦における国家の浮沈にも関わっていたことが臨場感を持って伝わってきます。


そして「誰にも解読できない暗号」という夢に向かって、アラン・チューリングのような当時最高レベルの天才達が国家の元に集まり、人生をかけて臨んでいた事にも感動を覚えずにはいられません。


情報量が指数関数的に増大し、一瞬で世界に伝播し、タダ同然で手に入る現代に生きるものとして、この作品を読むことで、決定的でありながら決して日の目を見ることのない暗号の歴史に思いをはせるのも良いのではないでしょうか。

難易度 ★★★☆☆
インパクト ★★★★☆
泣ける度 ★☆☆☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★★☆☆☆
考えさせられる度 ★★★☆☆
推定読了時間 7時間