告白 | バベルの図書館

告白

告白/湊 かなえ
「重く鈍い読後感」



2009年の本屋大賞受賞作ですが、映画が好評なようでまた話題になっています。


2年前にこの作品を読んだとき映画に向いているなと思いましたが、やはりという感じです。現代社会が舞台であり、独特の湿度感、暗さを持つこの作品は邦画の得意分野とマッチしていると思います。


母子家庭で子供を育てた女教師が、娘を殺害した相手を追い詰め、復讐するというあらすじですが、この作品の評価を一気に押し上げたのが、第一章の女教師の”告白”シーンです。


いきなり淡々と冷静に、論理的に自分の教え子達に向かって、娘の殺害、犯人について告白していくシーンは多くのミステリーを読んできた私も度肝を抜かれました。これは楽しませてもらえそうだと。


その後の章では事件の当事者、関係者の視点で事件について語られていくという構成ですが、徐々に女教師が犯人を追い詰めている事を背後に感じさせる筆力は新人とは思えない完成度です。


そしてラスト、女教師の復讐は意外な形で成就します。残るのは重く鈍い読後感だけです。


ハッピーエンドにせよ、勧善懲悪にせよ、この作品のようなラストにせよ、ミステリーの王道が人の心にインパクトを与えることだとすれば、この作品はやはり成功したと言えるのだと思います。

難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★☆☆☆☆
笑える度 ★★☆☆☆
怖い度 ★★★☆☆
考えさせられる度 ★★☆☆☆
推定読了時間 3時間