蒼天航路 | バベルの図書館

蒼天航路

蒼天航路 (1) (モーニングKC (434))/李 学仁


「乱世の奸雄のオデッセイ」


曹操の陵墓が発見されたとのニュースがありました。今後の調査でこれまでの曹操像、三国志観にどのような影響がでるのか三国志ファンとしては期待が高まるばかりです。


そこで曹操物を何か一つ、ということで若干ベタではありますが「蒼天航路」を紹介したいと思います。

いわゆる正史や演義いずれとも異なり、曹操を「破格の英雄」として捉え、彼の人生を中心に三国志の英雄譚を描く全36巻の大作です。


この作品の最大の魅力は”これでもか”といわんばかりの芝居がかったせりふ回しと王欣太氏の野性味あふれる絵柄が織り成す躍動感だと思います。人物だけでなく、馬や弓の飛ぶ様子も臨場感があって強いインパクトを放っています。


また人物像も独特で横山光輝三国志になじんでいる人には相当違和感(反発?)を感じるほどのオリジナリティです。劉備はかなりへなちょこに見えますし、孔明にいたってはただの変態と見誤りそうになります。ですが秀逸なシナリオ・プロットと、絵の力でそれらもしっかりと作品になじんでいるところが見事です。


中国の歴史は英雄と帝国の歴史です。力あるものは出自に関係無くその才覚を頼りにのし上がり、前の帝国を滅ぼして新しい国を作る。その繰り返しがあの広大な大陸の時を積み重ねてきました。


その歴史の中で、政治・兵法・文芸と圧倒的な才能を見せた曹操が、自らは皇帝を名乗らなかったのは何故なのでしょうか?


地位や名誉よりも人生を楽しむこと。それを第一に置いたのだとすれば、まさに破格の英雄です。


難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★★★
泣ける度 ★★☆☆☆
笑える度 ★★☆☆☆
怖い度 ★★☆☆☆
考えさせられる度 ★★★☆☆
推定読了時間 0.5時間(一巻)