幸福の政治経済学 | バベルの図書館

幸福の政治経済学

幸福の政治経済学―人々の幸せを促進するものは何か/ブルーノ S.フライ

「”幸福とは”という問いに学問の領域から切り込んだ労作」


前回ルソーを紹介しましたが、今回は最近の政治経済に関する本を一つ紹介します。


近年の政治経済学というのは統計学やゲーム理論のように数論的な検証を行い自然科学の領域に深く踏み込んできました。ただしその目標とするところはいずれも”効率性”という一点にあったと思います。


今回取り上げる一冊は、そういった政治経済学に対して「幸福を実現する」という目標を置き、そこに向かうにはどうすればよいのかという一石を投じています。


GDBとか貿易収支といった生産量やお金の量を追求してきた経済学が確固たる成果をあげてきたことは事実ですが、世の中が複雑かつ多様になった現在、豊かに便利になったからといってそれだけで”幸せ”を感じられるわけではありません。


本書は所得、失業、インフレ、といった既存の経済学のパラメータを元に、何が人の幸福に影響するかということをアンケートなどを用いて広範囲に慎重に検証しています。何か答えを出しているわけではありませんが、これまでの政治経済学とは検証のゴールが異なっているわけです。


検証結果によると失業率や身近な地域(村とか町といったレベル)の直接民主制が幸福と大きな相関を示すようですが、私自身の感覚とも合っており説得力が感じられます。


非常に主観的な幸福という感情に対して、どのように実際の施策を実行していくかは今後の課題ですが、こうしたアイデアが学問の世界で真剣に取り組まれていることに未来に対して少し安心感を覚えました。


難易度 ★★★★☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★☆☆☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★★★☆
推定読了時間 5時間