社会契約論 | バベルの図書館

社会契約論

社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫)/ジャン=ジャック ルソー


「国家の意思は果して我々の意思なのか」


鳩山政権が少々バタついています。マニフェストの推進、財源の問題、外交の軋み、政治資金問題。どれも民主党以前から存在する問題ではありますが、期待が大きかった分落胆も大きいというところなのでしょうか。


衆議院選で圧倒的勝利を得、単独過半数に達した結果は民意を得たということだと思うのですが、にもかかわらず思うように政策が進められないというのは民主党の力量なのか、日本の制度の問題なのか、国民が愚かなのか、根本的な原因が何であるのか考えさせられます。


そこで今日取り上げるのはルソーの社会契約論です。18世紀の著作ですが、フランス革命やカント・ヘーゲルに影響を与えた民主政治の精神的支柱といえる一冊です。


個人は本来身体的・財産的に自由な存在であるが、自由を守るために共同体が必要である。そして個人は自由を守るために共同体と契約を行う。その結果、個人の意思と契約に由来する国家が出現するとルソーは説きます。つまり国家の主権者は国民であると。


ですが、個人の意思が必ず正しいわけではありません。また個人の意思が統一されているわけでもありません。それを解決するために法があるわけですが、それも完璧なわけではありません。すなわち私達は完璧では無い制度を利用しています。私達は民主政治以上の制度を持っていないのです。世界中の叡智と歴史上の犠牲を払ったにも拘らずルソーの理想にはまだ届いていないのが現実です。


ではどうすればよいのか。難しい問題ですが、私は民主主義の要諦は素早い判断と調整だと考えています。民意を得た組織が素早く判断し、ダメなら素早く調整する。そうする事で移ろい易い民意に対応していく事が安心感を与えるのではないかと考えます。


最後に、ルソーはイギリスの議員内閣制を次のように批判しています。「選挙の時だけ自由で、終われば民衆は奴隷と化す」。つまり彼の思想の根源は直接民主制・大統領制にあるようです。


同じく議員内閣制の日本が奴隷の国では無い事を祈るばかりです。


難易度 ★★★★☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★☆☆☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★★★★
推定読了時間 8時間