虚人魁人 康芳夫 | バベルの図書館

虚人魁人 康芳夫

康 芳夫
虚人魁人康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝

「意味も理由も必要ない。ただ生きた証を示すだけ」


PRIDEがもめています。


闇社会とのつながりがあったとかなかったとかで、フジテレビから放映を打ち切りにされ、運営に大きな打撃を受けているとの報道が最近ありました。


ボクシングからWWF、極真空手まで、格闘技と名のつくものは全て好きでやまない私としては、K1が見世物的になってきてしまった昨今、本当のリアルファイト、総合格闘技が見れるPRIDEの価値は大きく、動向が非常に気になってなりません。


そんな中今回紹介したいと思ったのはこの一冊。伝説の興行師、康芳夫さんの自伝です。


表紙の写真から怪しさ満点の康さんですが、在日華僑の医者の息子で東大卒。そして戦後の混乱期に青春をおくったという、到底一筋縄ではいかない境遇の中で、康さんは興行師というハイリスク・ハイリターンな世界に飛び込んでいきます。


その興行の数々は、支離滅裂であり縦横無尽であり意味不明としかいいようがありません。アラビアの魔術団を呼び、日本で初のインディーカーレースを主催し、かの猪木対アリ戦を裏で操り、しまいには石原慎太郎を巻き込んでネッシーの探索にまででかけます。


自分の金は殆ど使わず、闇社会だろうと大企業であろうとその強烈な個性で取り込み、巨額のリターンは次の勝負と遊びに投じてしまう、まさに「人生は博打」を地でいった痛快な人です。


電通のような代理店がプロモーションして、テレビ放映で稼ぐという最近のシステマティックなイベント運営からすれば、こうした綱渡りの運営や闇社会とのつながりというのは許されざることなのかもしれません。


ですがこの本を読めば、本来興行というものが一人の人間が切った張ったの勝負の末に、あらゆる人間を巻き込んで成し遂げる一世一代の大博打なのだったということがリアルに感じ取れます。


何をしても、誰の力を借りても良いというつもりは毛頭ありませんが、善悪の狭間を行き来してでも生きた証を残そうという、スケールの大きな面白い人が生まれる、そうした社会の土壌は残って欲しいなとこの本を読んで思いました。


難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★★☆
泣ける度 ★☆☆☆☆
笑える度 ★★★☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★★☆☆
推定読了時間 4時間