ウェブ進化論 | バベルの図書館

ウェブ進化論

梅田 望夫
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

「ゲイツにさよならを言う日」


私が今の仕事についたのは、21世紀がどういった世界になるかはITの進歩とほぼイコールなのではと思った事が理由の一つです。


その進歩は私の想像以上で、中学時代に5インチフロッピーに感動していた頃からすると隔世の感を覚えてしまうほどです。それがDosVとWindowsの登場で一般化し、さらには携帯電話、インターネットに至ってビジネスやコミュニケーションの中心にまで成長するというのは今振り返って考えると衝撃的ですらあります。


この本ではそうしたITの中で今最先端と言える、グーグルやアマゾンのようなロングテールビジネスからブログを始めとするWeb2.0の技術およびサービスまでを著者独自の切り口と感性で解説した現時点では最も信頼に値すると言える一冊です。


ネットの最先端に携わる人達の動機やマインド、そしてそれらの技術やサービスが持つポテンシャルとインパクトについてこれほど明快に語られた本が1000円しないというのは素晴らしい事としか言い様がありません。


ただこの本を読んで私が思った事は、確かにウェッブの現在進行形と未来に夢があり、そして今後も成長が止むことはないのだろうけれども、果たしてその結果私達がビル・ゲイツにさよならを言う日が本当に来るのだろうか?というものでした。


ネットの世界を十分に堪能しているとは言え、私の世代でITを生業とする者にとって善きにつけ悪しきにつけビル・ゲイツと言う人は生きながら伝説であり、そして彼が支配するOSとアプリケーションソフトという世界が私のような者のバックグラウンドには深く根付いています(私は基本アンチゲイツですが、一方で彼の功績を否定できませんし、所詮彼の手のひらの上でそのおこぼれにあずかっている身である事も認めざるを得ないところです)。


そうした人間にとって、ゲイツが退場し、アプリケーションという概念が消え去るという事はなかなか想像し難く、かつ何かうっすらと物悲しい気分になってしまうのが正直なところです。


ダーウィンが進化論の中で記した適者生存を体現するかのように、ネットの世界も猛烈な代謝と進化を繰り返しています。ゲイツが築いたアプリケーションソフトも適者に駆逐され、そしてさよならを言う日が果たして来るのでしょうか?それともノイマンモデルが行き続ける限りそれも生き残り続けるのでしょうか? さよならを言う日が来た時にゲイツは何と言うのでしょうか?


「それで良かったんだよ」と、笑顔で去っていく彼を想像して、ほんの少しだけ切ない気持ちになる自分に気付いてしまいました。


難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★☆☆☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★★★☆
推定読了時間 3時間