塩の博物誌 | バベルの図書館

塩の博物誌

ピエール ラズロ, Pierre Laszlo, 神田 順子
塩の博物誌

「この偉大なる生命の友を今こそ見つめなおそう」


稀にこういう本に出会えるので読書はやめられない。そう思わせる知的良書です。


フランスを代表する化学者である著者が、塩にまつわる歴史、政治、神話、諺に至るまで縦横無尽にその興味の赴くままに解説した、まさに通な一品です。


塩について何か思うところはあるか。そう聞かれても何と答えてよいか戸惑ってしまうのが普通かと思います。ですがこの本を読み終えると、このごくありふれた食材にこれほどの歴史と物語、そして科学的興味が詰まっている事に素直に驚嘆してしまいます。


一般書ということですが若干科学的記述も多く、なじみの無い人には少々つらい部分もあるかもしれませんが、分量も少なく、やわらかい文体がそれほどストレス無く読み進めさせてくれる所も見事です。


大の親日家(フランスの知的階級には何故か親日家が多いですね)という事で、日本語版によせた前書きにおいて日本の塩が全て海水由来であり、日本人と海と塩の情緒溢れる関わり合いを博多の神事に象徴させて説き始めるあたりは、なんとも気が利いていて本物の博識、良識というものの洗練さに感心させられると共に、本文への期待を一層膨らませてくれます。


一銭にもならない知識かもしれませんが、何か人生が少し豊かになったような、そんな気持ちになれた一冊でした。


難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★★☆
泣ける度 ★☆☆☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★★★☆
推定読了時間 4時間