容疑者Xの献身 | バベルの図書館

容疑者Xの献身

東野 圭吾
容疑者Xの献身

「ミステリーの真髄はトリックの意外性。だからこれでいいじゃないか」


ようやく入手しました、今年の直木賞作品です。


6回目で受賞ということですが、芥川・直木賞は6回候補になって受賞できないと二度ともらえないというジンクスがあるそうなので、今回東野さん受賞できてホッとしているかと思います。


直木賞というのはよく物議をかもす賞で、少し前も「半落ち事件」があったりしたものです。「最も優秀な大衆文芸」という選考基準が「最も売れた」や「最も人気のある」、もしくは「最も力や勢いのある」という事とは若干違う事からくるのかもしれません。


今回の作品ですが、私は順当だと思いました。ミステリーが評される時によく犯行の動機に説得力があるかという事が言われますが私はあまりそこに終始するのはミステリーをダメにするのでは、という立場です。(とは言うものの、私はこの作品の動機は十分だと思っています。理系の天才はあまり身近ではないので理解され難いのかもしれませんが、私は大学の研究室で純粋さ故につっぱしってしまいそうな人を何人か見ています)。


そもそもジョン・ディクスン カーのようにひたすらトリックに焦点を当てる事もミステリーの王道の一つだと思います。そう考えると本作品のトリックは通でもなかなかに唸らされるものではないでしょうか。白夜行や秘密で見せたような読者を引き込む力は健在ですし、エンターテイメントとしての出来は期待を全く裏切らないと思います。


映画化、ドラマ化もよくされる著者ですから「大衆文芸」という範疇では今まさに頂点にいる一人ではないでしょうか。もうベテランの域ですが、これからも気を吐いて私達を楽しませてくれる、そう期待させる作品でした。


難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★★☆
泣ける度 ★★★☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★★☆☆☆
考えさせられる度 ★★☆☆☆
推定読了時間 4時間