ホテル・ニューハンプシャー | バベルの図書館

ホテル・ニューハンプシャー

中野 圭二, ジョン アーヴィング
ホテル・ニューハンプシャー〈上〉

「悲しみとユーモアを混ぜて幸せと共感を作り出す、アーヴィングの魔法の杖」


また見ていないのですが、三谷幸喜監督の有頂天ホテルが面白いようです。


ホテルを舞台にした人間模様というのは昔から人の創作意欲を駆り立てるようで、過去にも悲喜劇もろもろ多くの傑作が生まれています。


その中でも異彩を放ちつつも王道と言えるのがアーヴィングのこの作品ではないでしょうか。


アメリカ人というのは、大家族の盛衰というか、人間模様というのが昔から好きなようで、この小説でもそうしたプロットを忠実になぞっているように思えます。


ですがそこはアーヴィング。小人症やレイプ体験といった暗いテーマ、飛行機事故による家族の消失といった厳しい境遇を家族に与え一筋縄ではいかない雰囲気を漂わせます。


そうした暗い境遇にある人々を、ペーソスとアイロニーをからめながら最後には「悲しみは人をより強固に結びつける」というテーマに集約させていきます。この心温まるエンディングはあまりにアメリカ的であり、アーヴィング以降のかの国の映画や小説の一つの伝統にすらなった気がしてなりません。


単純に最後は星条旗というようなお定まりの物とは違って、スケール感と情緒をバランス良く使い分けながらアメリカらしさを出すのがこの作家の偉大さなのかもしれません。


長いですが、三年に一度くらい読み返したいと思う一冊です。


難易度 ★★★☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★★★☆☆
笑える度 ★★☆☆☆
怖い度 ★★☆☆☆
考えさせられる度 ★★★★☆
推定読了時間 14時間(上下)