深夜特急 香港・マカオ | バベルの図書館

深夜特急 香港・マカオ

沢木 耕太郎
深夜特急〈1〉香港・マカオ

「わずかな勇気を振り絞り特急に乗れば、違う世界と自分に会える」


久々に香港に戻って来ました。


WTOの会議が今香港で開かれているらしく、交通規制は敷かれるは、何故かうちの会社の前にガードマンがいるは、どこから来たのか不明な農民のデモはあるはと何やら物々しい雰囲気です。


もうすぐクリスマスということでそこら中が中華風(?)に派手にイルミネーションされているのと相まってなんとも雑多な雰囲気をかもし出しています。


そのせいかどうかわかりませんが、日本から戻ってきてあらためて「自分は海外にいるのだなぁ」と感じました。そして紹介しようと思ったのがこの一冊です。


若者紀行文ではもはや古典の部類に入るこの本ですが、今読んでも活力を失ってない快作です。仕事を投げ出し世界旅行に旅たった26歳の著者が、最初の目的地香港・マカオの熱気にあてられ思わず長居をしてしまい、結果その熱気が日常になってダラダラと本来の目的を忘れていく様は、新鮮でありながら何かいかにも若者らしい怠惰さも併せ持っており、非常に親近感を感じさせます。


現在の香港がこの本の時代とはすっかり変わって、ごくありふれた都会のようになってきてしまっている事が残念でなりません。


一巻が最高の出来という感も否めませんが、海の向こうに何かを求めてしまう短絡的ともいえる情熱は私にとってはほほえましくも懐かしい感じがしてなりません。日常をじっくりと営むことはもちろん大切ですが、たまには背中を一押しして、特急に乗る勇気も必要だと感じさせられる作品でした。


難易度 ★☆☆☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★★☆☆☆
笑える度 ★★☆☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★★☆☆
推定読了時間 6時間