存在の耐えられない軽さ | バベルの図書館

存在の耐えられない軽さ

ミラン クンデラ, Milan Kundera, 千野 栄一
存在の耐えられない軽さ

「究極に重いこの小説は今こそ復活するべきか」


今日私の部下(香港人女性)の結婚式に出席してきました。


彼女は29歳で私よりも若いのですが、幸せそうで、今後も公私とも頑張って欲しいと心から思いました。(香港の披露宴だか麻雀大会だかわからないパーティーには少々辟易としましたが。。)


さて、人の結婚式に出るといつも思い出すのがこの小説です。20世紀を代表する大作家ミラン・クンデラの代表作ですが、センセーショナルなタイトルと哲学的な内容が、いまだ独身で海外を放浪している私には何か深く響いてくる物があります。


この本の言わんとする事を簡単に言ってしまえば「人生は一度きり。死ねば全て終わり。だから自由奔放に生きればいいのさ。でも本当にそう思う?」、という事になりますが事はそう単純ではありません。永劫回帰からベートーベンまで織り交ぜながら交響曲のように男女の機微、重さと軽さの意味を論じてくるこの小説の威力は、単純な快楽主義への礼賛/懐疑というような陳腐なものとは一線も二線も画する振動を心に与えてきます。


人は新しい何かを求めながら安定する事も求めるという不合理な存在です。そして男女という性にわかれ月と地球のように一つになることも離れる事もないまま、その滅びる日まで生を繰り返していきます。


その上でどう生きていくのか。これは重い問題です。ですが死すべき定めの人の人生は本質的に軽いとも言えます。これは何と耐え難いことでしょうか。


何か快楽的・短絡的に走ってしまいがちな昨今ですが、この小説のような思慮や問いかけが時には必要なのではと考えさせられる作品です。


難易度 ★★★★☆
インパクト ★★★★☆
泣ける度 ★★☆☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★★★☆
推定読了時間 8時間