リトルボーイ | バベルの図書館

リトルボーイ

Takashi Murakami
Little Boy: The Arts Of Japan's Exploding Subculture

「過去も現在も、科学も宗教も哲学も、そして核さえ取り込むオタクの力」


現代アートの旗手村上隆氏が、彼を捕らえて止まず、その創作の根底にあるオタクについて解き明かそうとした意欲作です。


大和やガンダム、ドラえもんといった代表作から、マニアに絶大な支持を受けるデザイナーまで、戦後の日本のサブカルチャーの歴史を俯瞰できる体裁をとりながら、その背後に核へのトラウマという一本の線を引こうとしています。その試みが成功したかどうかは微妙なところですが、この作品には村上氏のオタクへのある種複雑な憧憬が表現されているように思えます。


村上氏は自らを「オタクになりきれなかった人間」と評しています。なりたくてなれなかったのか、なれるのになるのを躊躇ったのか。私は後者のようなきがしてなりません。私も漫画は読みますし、アニメもたまにみますし、理系のパソコン少年でしたからオタク的素養は十分あると思います。ですがやはりそこに突き抜けられませんでした。向こうの世界にある楽しさや、ある種の自由さに気づいていましたが、何かそこに踏み込んでいけませんでした。しかしそこで内に踏み込んで行くことで、外に広がっていく力になる。そういった可能性がある事は疑っていませんでした。


日本人は古今、内外問わず、あらゆる物を取り込み、みずからの趣向を加え内にとりこみ発展させていく事を得意としてきました。そして”をかし”や”わびさび”といった感情をもってあらゆる物を愛で発展させてきたのです。そのカルチャーの一端にオタクがあり萌えがあるというのは少々言い過ぎでしょうか?


前進し、吸収し、内省し、拡大していく。この本のうったえかけるオタクとは、ある種の日本人らしさという事なのでは?と思わされました。


難易度 ★★★☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★★☆☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★☆☆☆
推定読了時間 8時間