PLUTO | バベルの図書館

PLUTO

浦沢 直樹, 手塚 治虫, 手塚 真
PLUTO (1)

「困難な仕事に挑む浦沢直樹に喝采を」


ロボットオペラを紹介した時にも書きましたが、私はAI(人工知能)を研究していたことからヒューマノイドというものに、それなりの思い入れがあります。


日本人にとってヒューマノイドといえば鉄腕アトムであり、それは日本初のTVアニメーション作品であり、神様の代表作です。現代漫画界で屈指のストーリーテラーである浦沢直樹氏が、そこに果敢に挑戦したのがこの作品です。(敢えて挑戦と書きたいと思います)。


この漫画の題材に使われている鉄腕アトムの「地上最大のロボット」を、私は再放送でで見た記憶があります。シリアスな面の強かったアトムですが、この作品ではアトムを凌ぐパワーのロボットが多数登場したり敵を倒すため馬力を上げたりと、エンターテイメントの要素が強く、幼心に楽しんだ記憶があります。


ですが浦沢アトムは、このアトム史上最もエンターテイメント性の高い作品を、極限までシリアスに描こうとしているようです。同じ浦沢氏の「MONSTER」を思わせるような、暗さ、物悲しさ、そして漂う緊張感。人間よりも人間らしいロボット達。今後の展開を期待させる伏線のような展開。神様がアトムに込めた思いが、見事に浦沢流に表現されている気がしてなりません。


漫画を生業とする人にとって、手塚治虫にオマージュをささげるというのはどういう意味を持つのでしょか?神様と呼ばれる人の作品を題材にするというのは並大抵の力量の人ではできませんし、今それを行う事を許される人は数えるほどしかいないのではないでしょうか。浦沢直樹はそうした中の一人だと思います。そして果敢にも、実際にそこに挑戦した勇気に喝采を送らずにはいられません。


展開は少々遅いですが、気長に次巻を待ちたいと思います。


難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★★☆
泣ける度 ★★★☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★★☆☆☆
考えさせられる度 ★★★☆☆
推定読了時間 1時間(一巻)