銀河鉄道の夜 | バベルの図書館

銀河鉄道の夜

宮沢 賢治, 田原 田鶴子
銀河鉄道の夜―宮沢賢治童話傑作選

「理想の生き方と、死出の旅路。宇宙はあまりにも多くを象徴する」


実際の宇宙計画にまつわる話もダイナミックでスリリングですが、宇宙を題材にした小説や童話もやはり心動かされる作品が多くあります。


今回紹介するこの作品は、あまりに有名で、日本の童話史上でも最高傑作といえると思います。数え切れないほどの解説・評論、映像化や演劇化などの多メディア展開と、日本のクリエイティブに只ならぬ影響を与えてきた事は良く知られています。


美しい銀河鉄道の旅が実は親友の死出の旅路だったというブラックな側面を持つこの作品は人が宇宙に持つ多面的なイメージを実に神秘的に、情緒豊かに謳い上げています。


宇宙は人を全く寄せ付けない過酷な環境です。そこには冒険心や希望だけでなく、死というイメージも含まれています。


東北の寒村を見つめ続けた賢治には、宇宙に対してこうした死のイメージが(そして仏教的な死に対する美のイメージが)強く印象付けられたのかもしれません。他人のために生き、死んで行った人が、美しい天の河を越えてどこか理想の来世に向かっていく。銀河鉄道の車窓に広がる永遠ともいえる宇宙の広さと人の思いが、この短い童話の中には確かに収められているように思います。


難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★★★★☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★★☆☆☆
考えさせられる度 ★★★★☆
推定読了時間 2時間