サウスポー・キラー | バベルの図書館

サウスポー・キラー

水原 秀策
サウスポー・キラー

「スポーツヒーロー。孤独と緊張感の中で何を思うのだろう」


阪神が優勝しパリーグはこれからプレーオフと、プロ野球シーズンもいよいよ佳境に入ってきました。 その一方で楽天の監督が解任され、巨人では大粛清の嵐と、勝負の世界の明暗がはっきりと分かれている 感がします。


そこで今日紹介しようと思ったのがこのサウスポーキラーです。今年の「このミス」で 大賞に選ばれた作品ですが、ベテラン投手が自分の地位を保つため、若手の有望な投手を蹴落としていきます。そこに巻き込まれた新人エースが、犯人探しをするというストーリーです。


奇抜なトリックも猟奇的なシーンも何もない本書ですが、人物描写のたくみさと、何も無い事が確信犯的に新鮮さを生んで、エンターテイメントとして十分に楽しめる一冊です。


ただこの本を読んで、そしてプロ野球で現在起きている明暗を考えると、もちろん実際の野球界で相手を蹴落とすための傷害事件がおきているとは思いませんが、虚虚実実の駆け引き、取引が行われていることは想像に難くないですし、実際に若手の活躍を忸怩たる思いで見つめているベテランというのも存在するのだと思いました。


スポーツの根底はクリーンでフェアなものだと思います。ですが生活のかかったプロスポーツであればそこに人間らしい感情が渦巻いている事は決して否定できるものではありません。


一瞬の油断による怪我、不用意な発言によるトラブル、予期せぬライバルの出現。スポットライトを浴びる裏で日々緊張感にさらされる生活とはどういったものなのだろう。そう思いを巡らされる一冊でした。


難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★☆☆☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★☆☆☆
推定読了時間 3時間