おバカさん | バベルの図書館

おバカさん

遠藤 周作
おバカさん

「過ちは人の業。許すのは神の技」


少し前にバカの壁がやたらと売れた時に、馬鹿と名のつく本にどのようなものがあったか考えて見た事があります。イワンの馬鹿、釣りバカ日誌、空手バカ一代等々、いろいろと思いついた中で特に気になった作品がこのおバカさんでした。


人を決して疑わず、全てを受け止めるフランス人のガストンは、行く先々で珍事を引き起こし周囲を慌てさせますがいつも彼と関わった人は、心の中にほのかなそれでいてぬぐい様の無い温かい物が残されるという物語です。


カソリック作家の遠藤周作氏が、彼が理想と思うカソリック的生き方を投影したのがこの主人公です。他の作品にも登場する事から、氏にとって相当思い入れのある登場人物なのだと思います。


バカの壁が良く売れたのは、分かり合う事ができないというような趣旨が今日的だったからだと思います。私自信もどうも物事を穿った形でしか見れない傾向があるのため、ガストンのような人間は少々イライラするというか、呆れてしまうのが本当のところです。これでは世の中渡っていけないだろうと。


ですが分かり合う合わないを超越した純粋さ、許す事ができる心の広さ。こうした心の在り様こそが最後に他人と自分自身に力を与える事ができるのでは、と思わずにはいられませんでした。


いつもガストンのように生きられるほど優しい世の中ではありませんが、時々少しでもこうした気持ちを持つ事ができれば、と考えさせられる一冊でした。


難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★☆☆☆
泣ける度 ★★★☆☆
笑える度 ★★☆☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★★☆☆
推定読了時間 3時間