斜陽 | バベルの図書館

斜陽

太宰 治
斜陽

「普遍性なのか、時代性なのか、ただ太宰の情念なのか」



やはり天才なのでしょう。私は個人的には太宰はタイプではないのですが、他に比べる物がないその独自性を考えた時、やはり天才なのだと言わざるを得ないところです。



人間失格かこの斜陽が代表作なのだと思いますが、私は太宰らしさという面でこちらを押したいと思います。傑作を書くと宣言してこの作品を書き、実際にそうなった事。一方で実は恋人の日記を参考にしていたという負い目。悪魔に魅入られたファウストよろしく、強気と弱気、自己愛と羞恥心の狭間で決して安定する事なく、見苦しいとも言える姿で命を絶っていった人生は、才有る芸術家にふさわしいといえますし、そうした自身の投影と言う意味ではこの斜陽の象徴するもののほうが大きいと感じています。




独特でかつギリギリの軽さと言える文体。滅びの美しさ。貧乏人には苦労があり、金持ちには不幸の影がつきまとうというのはある種普遍性を持ったテーマですが、どうもそう簡単には片付けられない何かがこの作品には漂います。



それが何かと言われると答えに窮してしまうところですが、あえて言うならば内面の没落が有る意味運命づけられた芸術家太宰という人の情念なのではないかと思います。



難易度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★★☆☆☆
笑える度 ★★☆☆☆
怖い度 ★★☆☆☆
考えさせられる度 ★★★☆☆
推定読了時間 3時間