ロボット・オペラ | バベルの図書館

ロボット・オペラ

瀬名 秀明
ロボット・オペラ

「人は何を願いロボットを造るのだろう。」


パラサイトイヴの瀬名秀明氏がロボットにまつわる小説(漫画)と各方面の専門家の解説を編纂したアンソロジー(選集) です。


ロボットという言葉はチェコのチェペックという作家が1920年に自身の戯曲の中で登場させた造語です。もちろんそれ以前から、古くはギリシャ神話から日本のからくり人形まで、ロボットの概念に通じる物は数え切れないほど登場しています。ですがこの小説ではチャペック以降を対象として、ロボット開発の歴史と各時代ごとのロボットに対する感覚のようなものを俯瞰できるようになっています。


と、簡単に言ってしまえばそれまでなのですが、800ページ弱(値段も4700円!)という分量に、アシモフ、ピアス、手塚治虫までロボットに対するテーゼと言える秀逸な作品が、まるでそれぞれがオペラの一幕のように編集されている様は見事と言うほかありません。


ロボットの究極の目標はアトムやドラえもんのように、人と同じ様に考え、感じる事が出来るようになることです。私は学生時代人工知能を専攻していたのでわかるのですが、これは現在の科学技術をもってしてもいつ実現できるか見通しがたっていません。最近では脳医学やバイオにも範囲を広げて答えを探していますが、コアとなるような解決策は未だに見つかっていないのが現状です。


にもかかわらず、今でも世界中で(特に日本で)決して止むことなくロボット研究は続けられています。きっとロボットにはそれだけ人を駆り立てて止まない何かがあるのでしょう。この本はそうした人間のロボットに対するひたむきな思いを綴った賛歌と言えると思います。


いつかロボットが良き隣人となる日がくるのでしょうか? 私が生きている間ならいいなと、読後にふと思ってしまいました。


難易度 ★★★☆☆
インパクト ★★★★☆
泣ける度 ★☆☆☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★★☆☆
推定読了時間 12時間