マネーロンダリング | バベルの図書館

マネーロンダリング

橘 玲
マネーロンダリング

 

「マーケットの無機質さとうごめく人間模様の見事なコントラスト」


最近株式投資が非常に流行っているようで、書店にいくと投資関連本のコーナーが設けられているほどの盛況ぶりです。私はクライアントが金融機関なので、こうした投資ブームはクライアントの業績を向上させ、引いていは私の会社や私のボーナスにもはね返ってくるのではと少々俗な事を考えながら歓迎しています。


ですが長年金融という世界に片足をつっこんいてつくづく思う事は、マーケットというものは人が造ったにも関わらず、人が完全にコントロールできない代物なんだなという事です。


ただ数字が飛び交うだけで、一方で巨万の富を得る人がいれば、他方で会社がつぶれ、家族が壊れ、時には国も傾いてしまう。そんな虚虚実実のシステムの周りで、抜け道を探し、危険を冒しながら大金(そして失われた何かまでも)得ようとする、欲望の神に忠実な人々の人間模様を描いたのがこの作品です。


舞台は東京と香港。金融エキスパートをドロップアウトして便利屋のような商売をしている主人公が、たまたま受けた依頼から巨額の金の行方と、その裏に隠された運命の悲劇にせまっていくというミステリーです。


名前一つ変えれば大金の行方をくらませられるという金融のトリックをスピード感ある展開で楽しませてくれます。また著者は金融の専門家であるため、小説の中で繰り出される数々のテクニックはリアリティと説得力に溢れ、非常に迫力のあるものになっています。


難しい専門用語もそれほど多く無く、「金融の事はちょっと。。」という人でも十分楽しめます。マネーのプロの綱渡りの妙技を堪能してみて下さい。

難易度 ★★★☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★★☆☆☆
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★★☆☆☆
考えさせられる度 ★★☆☆☆
推定読了時間 5時間