後宮小説 | バベルの図書館

後宮小説

後宮小説

酒見 賢一
後宮小説

「宮崎作品を彷彿とさせる強く生きる少女の物語」


私は今香港に住んでいるのですが、やはり中国物を何か一つ紹介しておかねばと思い、何が良いか考えあぐねた末にこの作品にする事に決めました。


この作品は厳密には中国物では無く、中国らしき背景を持った架空の国を舞台にしています。つまりファンタジーという事です。


もう15年近く前になるのですが、日本ファンタジーノベル大賞という賞が創設されました。この賞は一般にはあまり知られていませんが、リングの鈴木光司氏を始め、時折秀逸なエンターテイメント作家を見出す注目すべき賞です。大賞賞金500万円というのも文学賞としては破格です。


その栄えある第一回受賞作がこの後宮小説です。天才作家の出現と激賞された著者の酒見氏はその後も良質な時代物エンターテイメントを書き続け、私が新作を欠かさず読む作家の一人となっています。


後宮と言うのは皇帝の妃(何百人もいます)の住まいの事です。そう聞くと西太后のように政治を裏側から支配する怨念と陰謀渦巻く物騒な印象がありますが、この小説の雰囲気は首尾一貫して「爽やかさ」です。


貧しい生まれながら皇后に選ばれた主人公と同じ皇后候補の仲間達。権力争いに巻き込まれ後宮を追われる身となりながらも決して明るさを失わず強く生きていく。身軽に何者にもとらわれず自分らしく生きていくその姿は痛快で、心地よい軽さに溢れた愛すべき一冊です。


「雲のように、風のように」というタイトルでアニメ化もされています。


バップ
雲のように風のように

今後も折を見て酒見さんの作品を紹介していきたいと思います。


難易度 ★☆☆☆☆
インパクト ★★★☆☆
泣ける度 ★★☆☆☆
笑える度 ★★☆☆☆
怖い度 ★☆☆☆☆
考えさせられる度 ★★☆☆☆
推定読了時間 3時間