嗤う伊右衛門 | バベルの図書館

嗤う伊右衛門

京極 夏彦
嗤う伊右衛門

「怪談を芸術に昇華させる京極夏彦の魔術」



前回、最近映画化された作品ということでローレライを取り上げましたが、京極さんの「姑獲鳥の夏 」も映画化されていた事を知り、ではそれを取り上げようかと思ったのですがやはり最初の京極作品としては「嗤う伊右衛門」を押したい、という事でこちらにしました。


もはや大作家の粋に近づきつつある京極先生。数々の賞を受賞され「嗤う伊右衛門」も泉鏡花文学賞を受賞しています。はては直木賞に二度ノミネートされたあと落選し、五木寛之氏をして「直木賞になじまない、さりとて芥川賞の枠にも入らない、というところが京極夏彦という作家の栄光と言えるのではあるまいか」という名言をはかせ、賞の範疇も超えてしまった現代最高のストーリーテラーの一人です(のちに直木賞を受賞した時には京極さんの力量よりも直木賞のふがいなさを印象づけてしまったように思います)。


京極堂シリーズ(後で紹介します)でミステリー作家としての地位を不動の物としたわけですが、この「嗤う伊右衛門」を読んだ時には「こんな事もできてしまうのか。。」と絶句しました。


とにかくせつない物語です。そして恋愛とは本来このように美しいものなのかなと考えさせられる一冊です。


悲しみの中で笑う(嗤う)事は日本人の美徳であると、かつてラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が言っていましたがそんな日本人的な情緒にしんみりと響く恋愛小説の傑作だと思います。



難易度 ★★★☆☆
インパクト ★★★★☆
泣ける度 ★★★★★
笑える度 ★☆☆☆☆
怖い度 ★★☆☆☆
考えさせられる度 ★★★☆☆
推定読了時間 4-5時間