ビルの裏側 | 自作の意味怖置き場m(_ _)m

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高いオフィスビルを背にして、煙草の煙をくぐらせながら、狩野はスマホの画面を確認していた。

昨日の夜まで、狩野の彼女、沙里からの着信で履歴が埋め尽くされていたが、今日はそれがひとつもなかった。

彼女の沙里とは一週間前に別れを切り出したが、承諾してもらえず、待ち伏せや突然自宅に押し掛けられたりもしていた。それがようやく終わるかと思うと、狩野は少し安堵していた。

狩野が今いるこの場所は自身が勤めるビルの裏側で、向かいのビルに囲まれる様にしてテニスコート程の敷地があった。古いデスク等が置かれていて小汚ない場所ではあったが、錆びた灰皿まであり、隠れて休憩するにはちょうど良く、狩野は普段からよくこの場所に来ていた。沙里とも何度かこの場所で会ったりしていた。

今日は、いつも壁際にある灰皿が少し壁から離れていて、その下には何故かパンプスが転がっていた。

狩野が一本目の煙草を吸い終わろうとしていた時、狩野のスマホが鳴り、驚いて画面を開くと、それは沙里からのものだった。画面には次の様なメッセージが入っていた。

[今から貴方の元に行きます。これからもずっと一緒だから]