昨年夏、僕の髪の毛を整えてくれているミロンのサトさんが、胃を全部取り出す手術を受けた。何度も一緒にゴルフに行ったイナさんは、肺は手術できないほどだ、といわれて、薬治療を続けている。一回り離れているわが妹は、孫の世話に楽しそうに励んでいるが、同じように肺の腫瘍を昨年半分以上取り除いた。つまり、この老骨の周りは重症患者だらけ。わが家内も、肺結節経過観察中。どっこい、この老英語職人も昨年夏、「中枢の脳血管が細くなってますねえ」と済生会中央ののんびりおじさん医者に笑いながら言われて、今は薬を合計7種類たべている。
さあ、みんなあ、この世ともうすぐバイバイだぜ、しておきたいことないか。という天の声が聞こえる。そんなものはもうないのだ。あるのは、いいかい、老人の声をよく耳を澄まして聞いてほしい。仕事を、倒れるまで続けたいのだよ。社会から退職という切り離し罪を宣告されて、親が残した土地を売って楽しくやっているやつを知っているが、仕事が、金を取り立てるのだから、人相がうさん臭い。とても幸福そうには見えない。貧しいものを苦しめて金を出させている人生はどうなんだろう。電車の窓には、地主は狙われている、地主は奪われている、という衝撃タイトルの本の宣伝があったが。
近近の眼鏡を13万円出して新調して、この老骨、眼鏡だけで辞書を見ることができるようにはなったが、まだあと5キロ痩せないと糖尿病に勝てない体重だ。右手の指が痛むし、ばね指だし。おっと、愚痴はいけねえ。
教え子が河東節という古くから伝わる歌舞伎の影の歌い手で、来月の助六と牛若の演目に招待してくれた。長生きするもんだぜ。本を二冊買って、あ、三冊だったか、歌舞伎の勉強を始めた。吉兆で弁当を予約した。助六、という寿司ネタがあるが、花魁の揚巻、と、ヤクザ物の助六が頭に巻く紫のハチマキ、この二つで、あぶらあげとまきもの、という語呂合わせなんだそうだ。日本の歴史、文化の奥深さ、すごいねえ。不倫をするために岡山から上京して、歌舞伎を見て帰るおばあさんを知っていたが、68歳で歌舞伎見物中にクモ幕下出血で入院した。人生模様がすごいんだよね。浮気不倫裏切りは、Youtubeの動画のお得意種目で、裁く男は神、誘惑に負けて体をもてあそぶ女性は常に罰せられるという見世物興行だけど、英語の見世物に、この老骨は待ってしまい4か月が経過した。女がかわいそう、ほんと。同情はしないけど、あわれ。まいっか。
