病院の白いシーツの海から、きみはこの世に生まれた。
想像力の都市の中へと、投げ込まれ
苦い、くるしい、悦楽の葬式からにげられない。
写真が妄想を断ち切ってくれる。
あどけなさは、天使。
老いれば、汚れは、まぬがれない。
でもね、君は永遠の、無垢。けがれない処女のままで
ほほえみを空気の中に充填して。
今年10歳だよね。
舌を生まれたとき引き抜かれていたね。
言葉を操れないね。
けがれない天使、悪意も、我執も、私欲も、真っ白に消えている。
僕はRayと呼ぶよね。
顔を向けて、天国へとすぐさま誘ってくれる。
時の剛力に負けずに、君を腕の中に閉じ込めてしまいたい誘惑。
真澄がうたう谷川の詩は、武満の半音メロディ。ギターの音。
肉体を得た詩はメロデイと時間の魔術の中で、言葉の
永遠の海底に、自由に、ひろげていく。
台風が来るという東京の片隅の路地裏の陋屋の机の上で。
老いることは、死ぬことと同じ。経験したことがないから、
わからない。体がボロボロになる自覚だけ。老いる。
