チカとその両親が来た | おもひでぽろぽろ

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どうやって私の勤務先を知ったのか、いきなりお昼休みにチカと両親がやってきた。

「森脇さんの奥さまですよね?この度は娘がとんだご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。」

三人ともとても小柄だ。
失礼ながら私の両親よりもかなり年上に見えた。

「高齢で授かった一人娘でして、甘やかして育ててしまいました。」

なるほど、そう言うことか。
チカは写真で見るより幼く見える。
化粧っ気もなく、中学生でも通りそうだ。
夫はこんな子が好きなんだ。

「先日娘が急に結婚したいと言い出して驚きました。お付き合いしている人がいるのは何となく分かっていましたが、まさかお相手が既婚者だとは思いませんでした。離婚が成立し、結婚したら遠くの転勤先について行きたいと言ったので、まずは奥さまにお会いして謝るのが先かと思いました。」

両親はまともなのかな‥‥

「森脇があなたについて来て欲しいと言ったのですか?」
何故かチカはチラッと母親の方を見た。
すると母親が答えた。
「はい、そうです。でも私達は止めました。そんな遠くに行くのは許さないと。」
‥‥何故母親が答えるんだ?
「そうですか。どちみち私達はもうすぐ離婚すると思うので、私に気を遣っているのでしたら構わないですよ。どうぞ再婚でも何でもなさって下さい。」
「いえ、遠くに嫁いで会えなくなるのが嫌なのです。だから、結婚は近くの人としてもらいたいのです。」
「あなたはそれでいいの?」
またチラッと母親を見るチカ。
「はい、私達が説得してお別れする決心をしてくれました。」
だから何故母親が答える??
もしかして喋れないの?
それとも日本語が通じないとか?

「それを言いにわざわざいらしたのですか?」
今度は父親が答えた。
「はい。娘があなたに訴えられやしないか心配で‥‥」
「お父さん!!!!」
母親が叫んだ。
なるほど、そう言うことね。
「安心してください。お嬢さんを訴えたりはしませんから。」
「有難うございます!それを聞いて安心しました。では、お仕事中失礼しました。」

最後まで一言も言葉を発しなかったチカ。
ホントに夫はこの子のことが好きだったのだろうか。

ま、いいや。
正直、訴える価値もない相手だと思った。